売買契約書は作るべき!その理由

契約書、絶対作った方がいい!その理由

~売買契約に特化して~

 契約書とは、誰が作成するのか

 

もちろん契約当事者双方に
作成権限も作成責任もあります。

ですが、
多くの契約が、口頭(くち約束)でも
有効なことを思えば、

作らないことによって
不利益を被る恐れのある方
つまり、どちらかというと立場が弱い方
具体的には、
売買ならば買う側の人が作成すべき
と考えます

 

これは、その人が実際に文書を作成するという意味ではなく、(もちろん作成できればそれに越したことはないですが、作ったことがないのでわからない、ということもあるので)その人が、誰かに作成してもらえるようにハナシをもっていくべき、ということです。

 

ちなみに、

売買契約書等を仕事として作ることができるのは、

・行政書士、弁護士です

・不動産の売買契約書であれば
司法書士も作成できることがあります

ですから、

自分で作れないので誰かに頼もうという時は
これらの人に依頼します

 

ですが、

・当事者(売る人、買う人)または仲介人が自ら作成するのはもちろんOKです。

 

また、

・仕事として作るのでなければ、誰が作っても法に触れることはありません。自宅にプリンタがないので隣の人に作ってもらうとか、息子に頼んで作ってもらうなど。

 

 

ただ、こうしたことの常として、
放っておくと、
立場の強い方の発言に引きずられて
結局作成しないままで
終わってしまうことがあります

 

まあ、
お互いに面倒なことは避けたいものですし
立場の強い側が
ひょっとして悪い人だった場合は
後日のために、証拠となるものは
できるだけ残したくない、と思うのは
当然です

 

なので、

契約書作成に際して最初の難関は
契約書を絶対作る、と決めることです

それがクリアされていれば、あとは、
大したことはありません。

 

ただ、

紙はどうするとか、印紙がいるらしいとか、手書きではまずいのでは?など、こうした事務仕事に馴染みのない人にとっては、ともかく考えるだけでも面倒なことがたくさんあります。

しかし、将来、なにか困ったことが起こったときに助けてくれるのは、契約書とか、領収書などしかありません。ともかく、裁判になったら、紙に書かれたものがあるかどうか、が勝負を分けることもあります

 

 このような時に契約書は必要

 

たとえば、このような感じで、困りごとはやってきます

・ケースA 

ちゃんとお金を払って買ったのに、売った覚えはない、貸しただけ。返せ!と言われる。(実話)

契約書も領収書の控えもないとのこと。これは、相手が悪い人だったためにおこったことであり、一般的ではないのですが、ここまで極端でなくても、ハナシが順調に進まなくなったときに、モノをいうのは、やはり紙に書かれたものです。これに勝るものはありません。

または、

・ケースB

親が昔買った土地の名義を変えてなかったので、その名義変更をしようとしたら、その人は亡くなっており相続人の協力が得られない(実話・何件もあり)

契約書も領収書の控えもありません。
これは、相手方の相続人は、おそらく、
その売買について知らなかったのでは
と思いますが。

まあ、気持ちよく協力してもらえないということについては、立場を変えてみればわかります。

 

ある日、

この土地はワタシが以前買った土地なので
早く名義を変えてもらいたい、ただし
契約書も領収書の控えもないけど。

と言われたら、どうですか。

自分の親が昔売った可能性はゼロではないにしても、売買契約書もないとしたら?または契約書だけあったとしても、領収書も残されておらず、先方にもその写しすらないとしたなら?

本当に売買があったのか?契約しただけで、決済に至らなかったのではないのか?だから名義変更登記がされてなかったのではないのか?

と思いませんか。

双方どちらにとっても不幸です

 

将来そのようなことがないように、契約書
金銭やりとりあったらもちろん領収書も
は必ず残しておくべきなのです

 

 真実はどこにあるのか

 

時間がたってしまって、
当事者がいなくなり、または、
記憶が薄れていって、
真実はどこにあるのか、となったとき
それを示してくれるのは、
紙に書かれた記録しかありません。

 

PCに保存というのもありですが、
私はアナログなので、
紙の契約書を好みます。とはいえ、

どっちでもいいです。
契約書を作りましょう。

 

 

 土地を買う時に。

 

土地を買うことになりました。
売ってくれる人は、古い友人の、
そのまた知り合い。
友人が昔ずいぶん世話になったという人
だそうです。
その売ってくれる人に、

司法書士に聞いたら、売買契約書を
作ったほうがいいそうですが

と恐る恐る頼んだとしましょう。

 

すんなりと、二つ返事どころか
そんなことは取引の常識ですよ当たり前
と言ってくれることもありますが。

 

そうでないことも、ままあります。

 

こんなふうに言われます

 

知らない仲じゃあるまいし、そんな水臭いことはなしにしましょうよ。作るにはそれなりの費用もかかってくるし、印紙代も必要で、わざわざ手間暇余分な費用までかけてつくるほどのものでもないですよ。

ですが、しかし、

数万円から何十万円もかかる契約書も
ありますが、
A4サイズ1枚で済むような契約書であれば
そんなには費用はかかりません。
印紙代も必要ですが、
取引の安全と引き換えです。
ちなみに印紙代は
5、000、000円の取引で
1000円です。

 

なんなら、あとで、どうしても必要だというんだったら、そのときに作っても遅くはないと思いますよ。

 

ところがどっこい、

 

この約束が後日果たされることは
まずありません。
お金のやりとりが終わってしまったら
ほとんどの約束は反故にされます。
ほぼ確実に作ってもらえません。

 

まあ、私とオタクの間で契約云々というような他人行儀なやりとりはなしにしましょう。知らない中じゃありませんからね。そんな水臭いことは、信用してないってことと一緒ですからね。

 

ええっと!一体いつからそんな仲に!

 

知り合いの知り合いは、
どう考えても他人なのですが。

 

知り合いに売るというから、相場よりかなり安く、いや、これじゃこっちも儲けどころか完全に赤字なんだけど、どっちみちバブルの時みたいなわけにはいかないのはわかってるから、どうせ買ってもらうなら、赤の他人じゃなくて気心の知れた人に買ってもらいたいと思っていたんですよ。それがたまたまこの人の知り合いって言うから、こんないい人なら、こっちもひと肌脱いでもいいやという気持ち。そんなこんなで気持ちよく取引させてもらえて本当に有り難いことだと思ってますよ。

またまた、御冗談を!

よくあるセリフですけど。
多分、
相場よりも高く買わせられるときに
口にされる定番かもです。
本当に特別に安くしてくれてるとしたら、
その値段でしか売れないからです。

 

実際、こっちも素人なんで、作るとなったら弁護士頼むとか、行政書士たのむとか、いろいろ面倒だと思いますよ。費用はそちら持ちだとしても。

脅かすのも大概にしてほしい!

ではここで「わたしが作りましょう」
と言ってください。
個人間での簡単な契約書は
当事者がささっと作ることが多いです。
弁護士や行政書士、司法書士の専業では
ありません。
インターネットに雛形はよりどりみどり、
目移りするほど載っています。
迷ったら一番簡単なものを選びましょう

 

なお、
契約に関する費用は基本的には折半
(売主買主双方が半分ずつ)です


 民法558条
売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する


 

とりあえず、そんなに面倒なことをするんだったら、買い手は他にいないわけじゃないし信用してもらえないんだったらしょうがないですよね。残念ですけどね。無理にとは言いませんよ。

そうか!そうきましたか

だったら、
このハナシはなかったことに
してもらいましょう。
契約書は取引の基本です。
それに協力してもらえないのなら、
白紙に戻してください

契約書くらいでゴタゴタ言うのなら
将来何か想定外のことが起こったときに
協力してもらえるわけがありません。
それこそ、信頼しろと言われても
リスクが多すぎるのではないですか。

 

以上、ありがちな口上(こうじょう)や
言い訳のパターンをご紹介しました。

 

ですが、

 

ここまで言われてしまったら
それでも私は作って欲しいんです
とは、仲々言えませんよね。

 

それが、普通だと思います。
やはり立場は弱いですから。

 

ですが、

だから、

それだからこそ、

自分でつくるのです!

 

 だからこそ、契約書をつくるのだ

 

上記で、赤字で入れましたが、
悪い人ではないにしても、
そもそも作ってくれない人は
作るのが面倒なだけなことも多いです。
実際、
問題のない土地を現金で売り買いして
即時、(可及的速やかに)
登記までを終えるのであれば、
将来的にこの取引が
問題を引き起こす恐れは少ないと
思います
この時でもせめて領収書はほしいですが。

 

 

契約書を作るに際して面倒なのは、たとえば公正証書でする契約とか、海外ドラマなどで見る分厚い契約書とか、ひょっとしたらそんなようなイメージをお持ちだからなのかもしれません。

そのような契約書も現実にありますし、特に大企業対大企業の大掛かりな契約を交わす時は何ヶ月も前からそれぞれの弁護士が契約書の精査にかかりっきりになります

あるいは、継続する取引についての契約とか当事者が何人もいるとか、第三者、第四者、が絡み合っている複雑な形態の契約とか。
このような契約書は確かに大変だし、素人が気軽に作成できることはないかもしれないです。

ですが、

 

ここで提案しているのは、
非常に簡単なタイプの
売りました、買いました、
だけの

契約書です

なんなら、インターネット上に無料で
それぞれの内容に応じた書式を
探してくることも簡単にできます

本当に簡単ですってば。

 

要は、最低限、

  • 誰が
  • 誰に
  • いつ
  • 何を
  • いくらで
  • どうしたのか

 

が書かれていればいいわけです。

細かいことは、書かなくても、
民法等で定められています。
とは言っても

契約で定めておけば
民法よりも優先して適用されるので
解除条件とか、
特別に決めておきたいことがあれば
書いておくべきです。

 

 契約書作成の準備

 

・用紙
あれば、A4のコピー用紙 便箋 和紙。
ティッシュペーパーのように薄くて
破れやすいものは不可
無効ではないですが書きにくいし、
保存に向かないため

昔は、土地売買契約書用紙が文房具屋で売られていましたが、近頃は見かけません。おそらくパソコンでサラッと作る人が多くなったためと思います

・はんこ
認め印でOK シャチハタ印でもOK
シャチハタ印はハンコではなく
スタンプですが、
ハンコがなくても契約は有効なため。

しかし、
商業慣行上
ハンコのない契約書はあまりないし
しかも、
後日の証として作成するものなので
できれば、きちんとした印鑑
実印とか・その場合は印鑑証明書もつける
を使った方がよいと思います

・収入印紙
課税価格に応じた金額のものを
契約書の上部とか(どこでも可)に貼って
当事者の消印をする
貼らなくても、契約は無効ではない
しかし、
必要なのに貼らない場合は印紙税法違反
(脱税!)

・筆記具
ボールペン、万年筆、など。
鉛筆は不可。
消せるので将来にむけて残すという目的が
達せられない

・手書き?
また、手書きだと効力がないのでは?
とご心配なさる方がいますが、
そんなことはありません。

書くべき事項がもれなく正確に
書かれているかどうかが重要です。

仰々しい金枠の入った重厚な和紙に、すっきり印字され、分厚い表紙まで付けられた契約書は美しいですが、ポイントを外していたらどうにもなりません。
たとえ、便箋に手書きで書かれたものであっても、必要充分な契約条項と日付、そして当事者がきちんと署名捺印してあれば、それで充分です。

たとえば、最高にゴージャスにドレスアップしていようが、質素な作業衣姿であろうが、中身とは全く関係ないのと一緒です。

 

 せめて領収書だけはつくる!

 

どうしても
契約書を作るタイミングを逃した場合は
せめて領収書を丁寧に書いて
署名捺印してもらいましょう。

 

領収書とはいっても、
全部本気で書くとしたら、
文字を書く習慣のない人にとっては
けっこうハードルが高いものです。

 

よく見かける残念な例が、
それぞれの名前と金額が書かれているだけ
というものです。
(名前が姓だけのこともよくあり)
契約書が作成されていて、
その内容に即した金額であるなら、
まだどうにかなりますが。
何の領収書なのか推測が可能なので。

でも、
契約書もなく
名前と金額だけの領収書だけだとしたら
で、またそういうのは、
日付も入ってないことが多いです。
これでは何をどうしたのか
何の金額なのか
さっぱりわかりません。

 

領収書に詳細・・・
土地の売買ならば、どこの土地なのか等
を書いておけば
簡単な売買契約書と同じくらいの
証拠能力はあります。

 

本来、
売る人(お金を受領する側)が
作成するものですが、
その人に任せておくと作ってもらえないか
あまりにも
不完全なものになってしまう恐れが
あるときは、
本人の(売主側)氏名のみを
本人に書いてもらうことにして、
残りの部分を事前に作っておくのが
一番簡単です。

現実に不動産取引ではよくあります

高齢の当事者だったりすると物件の詳細を
記載してもらうのが困難なことが多いため。

また、高齢ではなくても
誤字脱字等があると後日の訂正など
煩雑になりかねないため。

そして、
なにより
決済をスムースに執り行うため

等の事情によるものです

ゆっくり領収書を書いていると訂正したり、書き直したり
30分くらいかかることもあり。

 

領収書の書き方

 

必要なのは、

  1. (買う人のフルネーム) 様
  2. 金額(金〇〇○円)
  3. 何の売買なのか。
  4. 手付金なのか残金の全額なのか。
  5. 日付(西暦または元号も)
  6. 正に領収しました。の文言
  7. 売る人の住所氏名。押印

片山りえ蔵 様

金198万円也

千葉県茂原市上の林18の41の土地売買代金の全額として

2020年2月22日

千葉県茂原市上林184の1

堀田 文貴  印


なお、この場合の収入印紙は不要です。
営業に関しないものは非課税
!収入印紙が必要な取引もあります

 

そして、
お金と引き替えに領収書を交付されたら
相手方がその控えをとるのを失念してるようであれば、
相手方に渡しておきます(お金を支払ったことの証明になる)
逆の側(お金を受け取る方)からいえば
領収書を交付するときは必ずコピーをとって
領収書発行の証明ができるようにしておきます。

書いていてだんだん混乱してきましたが、

要は、
やりたいことは、

双方に、できるだけ多くの
取引の証拠となるものを
後日の証として、残したい

という考え方に基づくものです

 

このように
本人が署名捺印できるように
その部分だけ空白でつくっておけば、
完成です。

いくら面倒であっても苦手であっても
書くのは自分の名前だけなので、
大した手間ではありません。

もしもこれさえをも拒むのであれば
取引は中止したほうがいいです。

領収書とお金の授受は同時履行
・・・同時に引き換えで行うということ


民法486条(受取証書の交付請求)弁済をする者は、弁済と引き換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる


 

おまとめ

 

契約書なしで不動産の売買をして、
登記を相手任せにして
そのまま名義を変更せずに
何十年か経過したあと。

 

買ったAも死亡
売ったBも死亡

 

買ったAの方の相続人
あの土地は昔はBの土地だったけど
30年前にウチが買ったんだよ。
と父から聞かされていましたが。
ある日、登記を確認すると
なんとまあB名義のまま!

売ったBの方の相続人
そんなことは聞いていませんでした。

こうしたトラブルは実に多いです。
そして、

売買の事実を証明する何かがない限り
裁判をしてもむずかしいと思います
買ったAの名義にすることは
非常に困難と思われます

書証がなくても、
たとえば、

その土地の固定資産税を
Aがずうっと支払っていた、
ということでもあれば、
売買の事実は推定可能だとは思いますが。

 

転ばぬ先の杖(つえ)という言葉が
あります

売買契約書と領収書は
面倒でもぜひ作りましょう

 

当方では
大事な権利を守るための
売買契約書をお作りします