法定相続人のさがし方

法定相続人を探す方法

 

父一人娘一人のアタシ達。仲良し親子でしたが、このほど、父が他界しました。

何が何だかわからないうちに諸々の手続きが終わり、はや1年。

一周忌の席上で、父の姉(いわゆる伯母です)から、

「そろそろ相続のことを考えた方がいい」

とアドバイスがありました。

 

法定相続人はどうやって、さがせばいいのか

 

民法によれば、相続人は子供であるアタシ一人のはず。

しかし、伯母に言わせると、父は若いころ、何やらいろいろと華やかだったようだから、他にも兄弟がいるかもしれないかもしれないみたいです。

父の葬儀のときにはそれらしき人がいたとしても、アタシはそれどころではなかったので、全然考えもしなかったのに。。。。
もしかして、腹違いの兄や姉、考えたくないけど、弟とか妹がいるかもしれないの?
ま、それはそれとしても。

 

探偵事務所に頼んで探してもらうのでしょうか。
アメリカの小説では、弁護士が相続人を探索して、主人公が遠縁の大金持ちの伯母さまの遺産を相続することになる、なんてことがあったりするけど、こちらも似たような事情なのでしょうか。

まず、そもそも最初に、アタシがなすべきことは何なのでしょう?

 

戸籍の収集をする

 

お答え

遺産の内に土地、建物があるのであれば、お近くの司法書士をお訪ねください。

司法書士は、不動産の相続登記をするために、戸籍の収集をすることができます。

相続人の調査は、原則として、戸籍の収集をすることによって行います。なので、今現在の、お父様が死亡なさったことが記載されている戸籍をご持参ください。

それを手がかりにさかのぼって、
お父様の出生時(または、生殖可能年齢とされる12~14歳くらいから)からの戸籍を全部取り寄せます。

独身時代に認知をした、とか、以前の婚姻歴や、養子縁組をした、とか身分行為にかかわることの一切が戸籍には記載されています。

原則として、それらに記載されている子ども(たち)がお父様の相続人です。

(因みにアメリカには戸籍制度がありません。というか、戸籍制度がある国はごく少数です。)

遺言を遺していれば、遺言で認知がされていることもあります。

 

不利な遺言書を隠しては、だめ。

 

余談ですが、仮にご自分に不利な遺言を発見した場合、見なかったことにして廃棄してはいけません。遺言を破棄した者(偽造し、変造し、隠匿した者も)は相続人となることができないという法律があります。(民法891条)

 

遺産分割協議(いさん ぶんかつ きょうぎ)

 

このようにして相続人を調査したら、その法定相続人全員で、遺産分割協議を行います。

全員で、一堂に会して協議をするのがベストですが、中々そのようなこともできなかったりするものです。

そんなときは、電話やメールなどで、打ち合わせをしておいてから、
それぞれが別々に同じ文面の遺産分割協議証明書を作成し、
それを全員分そろえることによって分割協議に代える、というようなことも実務ではよく行われます。

 

財産の分け方

 

なお、遺産分割協議なので、協議の中身は自由です。

ある人が全部を取得して、他の人は何も受けない、こともOKです。

全員が法定相続分通りに分割協議をすることも可能です。

協議できることはなんでもOKです。

 

債務の引きつぎ

 

ただし、債務の相続については、共同相続人間で決めるのはお互いの間では有効ですが、債権者の承諾がないと、無効です。

勝手に、例えば「長女が債務の全てを引き受ける」などと協議してもダメです。

誰が債務者になるかというのは、債権者にとって、非常に重大な利害をもたらすものなので、債権者なしで協議してもそれに対抗できないということです。

 

協議ができない場合

 

代表的なのは、当事者が

  • 行方不明
  • 遠方にいる
  • 協力しないの3つ。

行方不明であれば、不在者管理人を選任して、その人に行方不明者に代わって分割協議に参加してもらいます。

ですが、管理人を選任するのも、遺産分割協議に参加するのも、裁判所の許可が必要なので、少々、面倒かもしれません。

 

遠方にいる場合でも連絡さえつけば、何とかなります。

たとえば、ブラジルの奥地にいる場合。
その地の公証人とか、領事とかにサイン証明をもらって、日本でいうところの印鑑証明書にかえることができたりします。

国によって、また、その人が未だ日本国籍なのか、外国籍を取得しているのかによって、方法は異なりますので、慎重に。

 

協力してもらえない、時は、弁護士に頼んで、交渉してもらいます。

司法書士は、依頼人に代わって相手方と交渉することはできないので、弁護士に頼みます。(このようなときに、職業として交渉することが法的に許されているのは、弁護士だけです)

弁護士が、相手方または、相手方の弁護士と相談することによって、素人だけでは解決できないことも、あっけなくまとまることがあります。

弁護士の腕次第なところもあります。また、相手方も、人間ですから年齢を重ねるごとに、柔らかくなる人とさらに頑固になる人とがいますね。なので、話し合いがうまくいくかどうかについては、半分は運、だと思います。

 

司法書士ができること

 

なお、司法書士は、単に相続人の探索のためだけに、戸籍をとりよせることはできません。

戸籍収集は、あくまでも、「不動産の名義の変更のための付随行為」として認められているにすぎないことにご注意ください。

 

行政書士ができること

 

ですが、たまに、

「相続権のある人がどれだけいるのか知りたい」とか、
「家系図をつくりたいので、戸籍を集めて欲しい」

とおっしゃる方がいます。

 

以前、司法書士の資格しかなかった頃は、お断りせざるを得ませんでしたが、
今は、行政書士資格でお取り寄せすることができます。

どうぞ、ご相談ください。