相続の限定承認

相続が開始したあとで、さてどうするか
について、取り得る手段は3つあります
相続開始したら
・単純に相続するか
・限定承認する
または
・相続放棄をする
という3つです
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内に相続について単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならない
ただし、この期間は利害関係人または検察官の請求によって家庭裁判所によって伸長することができる
3か月間何もしないでいたら、
単純相続したことになり
権利も債務も全部が相続人に引き継がれます
(単純承認の効力)
民法第920条
相続人は、単純承認をしたときは無限に被相続人の権利義務を承継する
すごい条文です。無限に承継するわけです
何もなければ、無限とはいっても
ゼロはゼロですが。
あとは、
3か月以内に家庭裁判所に対して
その意思表示をすれば相続放棄ができて
最初から相続人ではなかったことになります
(相続放棄の効力)
民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては
初めから相続人とならなかったものとみなす
そして、
あまり馴染みのない限定承認です
(限定承認)
民法第922条
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることができる
簡単に言うと遺産の中から債務を弁済して
残りがあったらそれを相続できる
という制度が限定承認です。
というか、
財産の範囲内でだけ債務を弁済すれば
責任を果たせるといった方が
よいかもしれません。
言い換えると、
債務を相続財産の範囲で支払う
というものです。
借金が1000万
積極財産が700万だったときに、
700万円を債務の返済にあてることで
残額については責任を逃れることができる
とする方法です
限定承認
この手続きは前者2つ(単純承認・放棄)
と異なり、実はかなり面倒です
お客様に説明したことはありますが、
初耳、そんな手続きは聞いたこともない、
という方がほとんどです。
それくらい一般的な手続きではないです。
面倒で複雑で、
さらっとできるものではないので。
1 相続人全員でする
相続放棄をした人は相続人ではないので
参加する必要はありません
行方不明の人がいたら、
この方を除いて手続きをすることはできません
家庭裁判所で不在者財産管理人を
選任することになります
2 目録(財産の目録と債務の目録)を
作成して、相続開始後3か月以内に
家庭裁判所に限定承認をする旨の
申述をする
(期間の延長申請はできます)
3 このあと、相続債権者に対しての
公告や催告が必要で
他にもいろいろ面倒なことがあり、
求められる知識と注意義務は
半端ではありません
これは
本人申請ですることはかなり大変なので
ある程度の規模のある相続であれば
税務に強い弁護士に依頼することを
お勧めします
へたな○○書士にあたったら、
ひどい目にあうかもしれません
で、どうする
限定承認をすると
債務を返済するに足りる遺産があれば
自宅だけは守る、というようなことも
可能かもしれないですが、
プラスマイナスがトントンであれば、
おそらく家は競売にかけられて
それを債権者で分配するという流れに
なります。
先祖伝来の地所を守ることは
たぶん、できなくなるわけです
ただ、中には
マイナスが多くてもどうしても
自分の生まれた家は守りたい!
相続をする。借金は自力で返す。
という方がいますが、どちらかというと
少数派です。
(相続した挙句に返済しきれずに
自己破産という可能性もないわけではないです。)
でも先祖伝来の地所は守りたい。。。
悩むところです

千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。