相続分の譲渡をする

相続分の譲渡とは

  • 相続人が
  • 自分の法定相続持分の
    全部または一部を
  • 他の相続人または第三者に
  • 譲渡(売買・贈与)することです

 

相続人にしかできません

相続持分全部を譲渡することも
できるし、

その一部だけを譲渡することもできます

たとえば相続持分4分の1を持つ人が
その4分の1全部を譲渡することも、
その半分である8分の1だけを
譲渡することも可能

譲渡とは
売買(お金を払う)または
贈与(無償)ということです

相手は
共同相続人のひとりまたは
複数人でもよいし

相続権のない、第三者。
たとえば孫とか、友達とか
共同経営者などでも可能です

ただ相手は具体的に確定している必要があります

社員または友人の内の希望者・先着順
とかはダメです

 

この相続分の譲渡は
かなり使い勝手がよいようなので

遺産分割が思うようにはかどらないときは
こちらを検討したいと考えます

 

メリット

 

相続開始後3か月が経過したため
相続放棄ができないときでも
争いごとになりそうな相続関係から
脱退することができます

そうすると
分割協議をすべき相続人の数を
減らせる結果、協議が楽になります

 

相続分の譲渡をすれば、相続人の地位は
譲り受けた人に移ります

それによって譲渡人は
遺産分割協議に参加する必要は
なくなります

協議に参加するのは、譲受人です

 

遺産は何もいらないから遺産分割協議に参加するのはイヤ面倒ごとには一切関わりたくない
とお思いであるならば、

他の相続人あてに相続分譲渡証明書を作って
渡してしまえば

それで手続き的には
遺産分割協議という義務から
解放されることになります

 

相続人が多い

また、ご自分が遺産を取得したいと
思っているとしたら

相続人が26人いたとしたら
この全員で分割協議をするのはどう考えても
とても大変です

 

実務的にというか、具体的には

自分が遺産を相続するについて
他の相続人全員から了解を得る
無償で、または代償金と引き換えに。

ということになるわけですが

ですが

この相続分の譲渡証明書
書いてもらうことができれば

分割協議をすべき相続人の数を
減らすことができます

不動産を相続人Aが取得したいと
思っているときに

B,C、・・Y,Zの全員で話し合うのは
大変ですが、

このうちの20人くらいが
Aに相続分譲渡をするのであれば、あとは

残りの5人と遺産分割協議をすることに
なるわけなので

つまり、共同相続人の総数を
圧縮することができます

持分僅少=希薄な関係

相続持分が少ないということはイコール
関係も希薄ということです(例外はありますが)

共同相続人が26人もいるということは
多くの場合、数次にわたって相続が
発生しているということで、特に
被相続人に子どもがいないときは、
兄弟の側に相続権が移ることが
ほとんどなので、

兄弟の相続持ち分は4分の1、それを
何十人かで分けるわけで

一人当たりの相続持分は非常に
僅少なものとなります

持分も少ないですが、何よりも
被相続人との関係自体が非常に
薄いものとなっているので、

こうしたときにいきなり、手紙を書いて
事情を説明しても

えっ?何それ?どゆこと?
新手の詐欺?
疑われることさえあります。

自分のお祖父さんが養子に行った先の兄弟の嫁ぎ先のなんとかかんとか、など。

放棄した人がいたり
亡くなった人がいたり
養子に行ったり離縁したりなどなどで
少々面倒だからという理由で
(実際面倒ですが)
相続手続きを放置しているうちに
相続人の数は、ともかく増えます。

稀に、減ることもあります
子どもを遺さずに死亡する人が多数だと
相続人は減少していきます

このように複雑化した
相続人多数の相続においては
理解の一助として
相続関係説明図をお示ししますが
これがまた巻物のように長―くなり

司法書士ソフトで出力すると何枚にも
なってしまうため一覧性を大事にすると
書かれた文字が極小サイズとなり、

関係者の目と脳を苦しめます。

 

ちなみに、説明図はないよりも当然
あった方がよいですが、
これを見たからといって必ずしも
理解できるとは限りません

誰が法定相続人なのかということで
裁判になったりしているくらいなので
複雑で難しいのです

 

このような巻物サイズの相続においては
当然、法定持分は
人によっては1280分の1とか
まさに微々たるものです

遺産が1000万円とすると
その人の法定持分は7、812円です

ただし
どんなにささやかな持分であっても
全員の同意が得られなければ分割協議は
成立しません。

高齢なので早く決まりをつけたい

遺産分割協議をすべき高齢の共同相続人が
何十人もいるようなときには

全員の協議が整うのを待っていたら
いつになるかわからないわけです

加えて
その人たちが、
自分は何もいらないから
早く手続きしてほしい、、
と言っているとしたら
相続分の譲渡は、とても便利です

相続する人宛に
相続分譲渡証明書を書いてもらえば
それで、OK。完了です。

せっかく協議書に署名捺印もらえたのに
そうこうしている間に
高齢の共同相続人が櫛の歯が欠けるように
次々と亡くなっていく。。。

共同相続人が亡くなったら
今度はその相続人も
分割協議に参加しなければならなくなります

そうしたときにまたもや協力を仰ぐのも
ひと苦労ですが
相続分の譲渡をしてもらえばその心配も
不要となります

 

 

デメリット

 

相続分の譲渡をした場合は
債務
があれば、それも譲受人に移ります

ただしそれは
債権者との間では主張できない
とされています

つまり、相続分の譲渡をしても
裁判所で相続を放棄したわけではないので
依然として相続人であることには
変わりないので

債務の相続人としての地位は、
譲受人には移転しないためです

なので
債権者から求償されたら
譲渡人には弁済義務があります

ただし、譲受人にたいしては
その弁済額を請求することができます

 

便利ですよ。

 

過去に、お客様で
自分で遺産分割協議書は作った
とおっしゃっていた方が
ご持参くださったものは

遺産分割協議書と
相続分譲渡証明書が合綴されており

数人の相続人が相続分譲渡をした結果
残りの相続人が2人で分割協議をした
というものでした。

相続分譲渡証明書が
登記の書類とされているのを見たのは
実は、この時が最初です。

知識としては多少(多少です。。。)
あったものの、私が依頼されてきたのは
常に遺産分割協議書の作成だったので
噂では聞いたことがありましたが
こういう風に使うのか、とびっくりでした。

相続と言ったら協議書
と考えるのは当たり前のことです。が、
実は他にもやり方がありましたね。
便利です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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