遺産分割協議書の文案
遺産分割協議書の文案を今一度考えてみる
協議の内容としては
何を書いてもよいのですが、
書き方によっては将来
予想もしなかったトラブルに
巻き込まれたりするので、
争いごとを未然に防ぐためにも
最低限気を付けるべきことがあります
協議書作成のご依頼をいただくことが
ありますが(内容が決まっている場合)
当方でおつくりするのは原則として
ごくごく簡単なものです
一番簡単な協議書案
A案 遺産は、全て○○が取得する
または、
B案 不動産すべては○○が取得する
というものです
言うまでもありませんが、
相続人全員が同意していることが前提です。
基本的にA案をお勧めしています
当方においでくださる前に、既に
預貯金は分割済みという方は多いですが
その場合は、もう
記載不要とお思いなのでしょうが、やはり
そのことを
遺産分割協議書に載せておいた方が良いです。
後日のために。
たとえば、実はもう既に妻が預貯金を
使ってしまって何も残っていない
というようなときなど
絶対にA案「遺産全ては妻が取得する」
にした方がよいです。
実際に取得してしまったわけですから。
そのあたりは、他の相続人にも
説明が必要になるかもしれませんね。
こうした場合に、
実は全てを妻が取得する(取得した)
にも関わらずB案「不動産は妻が取得する」
にした場合は、どうなるかというと
「不動産は妻が相続する。」
不動産はこれで済みました
ですが一方、
預貯金および他の遺産については、
協議未了なわけです。
まだ誰のモノとも決まっていないので
被相続人が所有している、と
お思いになる方もおいでですが
被相続人は死亡しているので
所有者にはなれません。
分割協議の済んでいない遺産は
法律的には相続人全員での共有です。
(法定相続持分で、共有する)
このように考えると、
B案「不動産は妻が取得する」だけで
終わらせてしまうと
預貯金も妻が取得する(取得した)
という実体と食い違ってしまいます
とりあえず不動産については
この文言で決定しておいて、後日
別途ゆっくり、それ以外の遺産
(現金・預貯金・株式・暗号資産(仮想通貨)・宝石
壺・絵画・金の延べ棒etc.)について協議する
というのであれば、全く問題はないです
ですが、上記の場合のように
既に遺産の一部を
自分のモノにしてしまったのであれば
その旨を事後承諾ではありますが
A案、または
「不動産および預貯金のすべては妻が取得する」
として、協議というか事後承認
してもらった方が
後日、問題が起こりにくいのかなと
思います
分割協議の際のご注意
- 分割協議~相談は相続人全員でします
- 内容が決まったら、それに従って
協議書を作成します
これは当方でも承れます - 相談がまとまらないとしても当方が
間に入って交渉することは
できません - 同じく、将来を見据えたいわゆる
相続コンサルタント的なアドバイス
はできません
当方でお伝えするとしても
言わばよくある事例のご紹介として
世間では
このような分け方がされることが
多いです、くらいのことに限られます - 相続税的には
どのように分けるのが
一番節税になるのか、といった
税金関係のご相談は税理士に
お尋ねください。 - ともかく相続登記をするためには
相続人全員での相談が
まとまっていることが大大大
大前提です
協議がまとまらないとき
相談がまとまらなければ、誰か
間に入ってくれる人を捜しましょう。
適当な人がいなければ、弁護士に交渉を
依頼するのが早いです
世話好きな親戚にお願いするのは
アリですが
資格者に依頼するとしたら
弁護士以外の人に交渉をお願いするのは
やめましょう
交渉代理を業としてできる資格者は
弁護士だけです
どうしてもまとまらなければ
裁判所に遺産分割調停を申し立てるのも
アリです
最悪かなと思われるのが、
みんな文句言わずにハンコは押すはず!
とばかりに、たとえば
長男が財産全てを取得する という協議書を
いきなり送り付けることです。
一発勝負でうまくいけばよいですが
下手をすると、これが原因で
何十年も協議を進められないという事例が
多々あります
頭を下げてお願いするなり
いくらかの代償金と引き換えにするなり
こうしたときにはそれなりの儀式が
必要とされるのではないかと思うものです
これら一切を省いて
法律で長男が相続するにきまってる
だからハンコ押すのは当たり前、
ですが家督相続の時代ではないので、そのような法律は
現在はありません
と根拠のない自信のもとに
突然このような協議書を示されたら
色よい対応を期待するのは虫が良すぎる
というものです。
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。