調停と裁判官
調停と裁判官
調停は
原則として民間人2人
(弁護士、医師、保険屋さんやもと公務員だったりいろいろ)
と裁判官1人で構成される調停委員会が
当事者(申立人と相手方)の話を交互に聞き
それぞれの理解を深める手助けをしつつ
いわば話し合いによって紛争解決を目指す
とされている手続きです
ですが
双方の話し合いで合意ができたとしても
実際は、裁判官次第で
調停の行方というか方向は
かなり異なるようです
せっかくした合意が
却下(!)されることさえもあります
裁判官次第で結論が異なってしまうとしたら
とんでもないことです
それは調停の基本的な考え方
(話合いで解決する)に照らして
到底受け入れられないことです
が、
よくよく考えてみれば
通常の民事裁判も刑事裁判も
裁判官次第であることは同じです
結局は、どんなに弁護人が頑張ったところで
裁判官の鶴の一声が
白黒というか、成否を
決めてしまうわけです
裁判官が複数人いる裁判所もありますが
一人しかいない家裁もまた多いです。
いずれにしても
担当の裁判官が合理的な理由もなしに
交代や変更になるものではありません
つまり、いずれにしても
裁判官が変わった人(!)だと
簡単そうな調停であっても
スムースに成立しないこともある
ということです。
少なくとも最初からその覚悟
(あまり期待しない)をしていた方が
落胆しなくて済むというか、まだ
納得しやすいかもしれません。
しかし、です。
調停は裁判と異なり
裁判官が判断を下す場ではなく
当事者同士の話し合いの場です。
よって
通常の裁判のように
裁判官の判断に左右されてしまうのは
いかがなものなのか
それで良いのか
と憤るものです
理想論かもしれませんが。
調停委員会は通常3名で構成されますが
(民間人2名・裁判官1人)
これは2対1で決議(多数決で決する)
をするということではありません
調停委員2人の意見と状況を確認した上で
裁判官が
法律家としての判断を下します
ゴーサインをだすか否かを決めるのは
裁判官です。
裁判官は
1 双方が話し合って到達した結論に従って
調停を成立させる
2 話し合いをもう少し深める必要がある
と判断し、さらに期日を設ける
または
3 どうしてもどうにもならない
(これ以上話し合っても無駄である)と
判断した場合は、不成立、として
調停を打ち切る
このような判断をすることになります
裁判官の権限はともかく絶大です
調停は裁判ではないので
法的に問題さえなければ
当事者間の合意によって有効に成立する
と考えていましたが(どこかで読んだ)
ところがどっこい!結論としては
それを許す裁判官ばかりではない、
ということです
たとえば、このような事例が
わかりやすいかもしれません
具体例
状況:
遺産は居住していた土地建物だけ。
相続人は、そこに住んでいた配偶者と
子ども2人。
配偶者は土地建物の取得を希望
子どもはそれぞれ法定持分を金銭で希望
(しかし、現預金はほとんどない)
配偶者本人の資力もさほどのことはなく
代償金の支払いができる状況にはない
打開策を求めて調停を申し立てました
経過:
何回か期日を重ねた結果、
子どもたちはそれぞれの主張を諦め
「じゃあ、配偶者(お母さん)に家を
相続してもらって、私たちは今回は
相続分を諦めることにする。いずれ
お母さんが亡くなった時に
2人で家を売却しよう」
という線でようやく合意ができました。
成立または不成立:
ところが、なんと
信じられないことですが
裁判官がこの合意に
納得しないということが。。。
何故ならば、この案だと
「配偶者のみが全部取りで
子どもたちの法定の権利が
守られていないから」という理由です。
(リアリ?)
(それはそうかもにしても裁判でもないし
審判でもないので、合意があれば
それでOKなのでは??)
ま、素人考えですが。。
ですが
厳然たる事実として
裁判官が同意しない以上
その案で調停が成立することはありません
ただし
極端な偏向が見られる(!)場合は、たまたま
精神状態が不安定だった可能性があるので
新たな期日を設けて
再度同じ案で成立を試みるという手があります。
裁判官も人間です。
気分も体調も変わる可能性があります。
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千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。