仲介業者と売買契約書

不動産取引には、
できるなら仲介業者さんを
お願いした方がよいです。

その際に、売買契約書は
その業者さんにお任せして
大丈夫なのでしょうか

それとも、自分で作りますか?

弁護士さんに依頼する?

行政書士さんが作成してくれる
というハナシもありますね

契約書は誰が作る?

 

売買契約書は原則として仲介業者さんが
責任をもってきちんと作ってくれます

 

要は
いつ、誰が、何を、いくらで、どうしたか
がわかれば最低条件は満たせます。
なので、それだけでよいのであれば
当事者だけで
手書きでさらっと作ることも可能だし
(手書きであっても素人がいわば勝手に作った書類であってもそれが当事者の意思と事実に合致している限り有効な契約書です)
ご依頼があれば、当方でもお作りしています

が、
デリケートな問題を含んだ契約だとしたら
やはり、プロにお任せするのが
安心だと思います
(デリケートかどうかというその判断も実は、
素人にはできないのですが。)

ただ、プロが作るとは言っても、中には
ひな型に、物件と取引金額を入れて
それで終わり、という
作り方をする人もいるので注意は必要です

 

契約書にサインをするにあたって大事なこと

 

1 内容をきちんとチェックしましょう

2 書き足らないことがあったら
手書きでよいので、追加してもらいます

印字した契約書に手書きで
誤記訂正追加などをするのは
当たり前のことです

納得できないことがあったら
気が済むまで訂正や削除を求めて
大丈夫です


「もう印字してあるのでそこだけ訂正なんてできませんよ。全部作り直さないと。
それでよければ作り直しはできますけど。そうなると今日の契約は延期ですね。他の人にも迷惑がかかることになるわけですけどそれでもよければ。」

と、ほとんど恫喝しているような
業者氏を見かけたことがありますが
論外!です(怒)

このようなことを言われた時点で
「では残念ですがこの話はなかったことに」
と言って席を立つべきだったかも

しれません 


契約を
出来上がった契約書面に
ハンコを押すだけ、とお思いの方も
多いですが

その不動産取引のすべてが、原則として
その契約書面に書かれているわけです

さらに加えて
何かあったら、その時にどうするのか、
書かれてあるはずです

何かあったらその時にどうするか、を
書いていない売買契約書も全然問題なく
有効です。その場合は、原則どおり
民法や商法などの法律に
従うことになるだけです

 

正式な売買契約の前に
話自体は進んでいることが
ほとんどですが

実際の契約書面は、契約時にいきなり
提示されるというパターンも
少なくありません

そうしたときに、じっくりと時間をかけて
検討するのはハードルが高いですが

昔と違って、現在の宅建業者さんは

売買契約書を1条ずつ、丁寧に読み上げ
内容も説明してくれることがほとんどです
(これは法的な要請によるものです)

その説明をしてもらいながら
「?」「!」と思った時は躊躇なく
その場で確認しましょう。

あとでまとめて、と思っていると
忘れてしまいます

双方合意に至り、契約が成立すると
次は調印の儀(ちょういんのぎ)
が待っているからです

売買契約書(最低2部)さらに重要事項説明書(最低2部)加えて何かの件で特別な合意等をしていればその分の合意書(最低2部)等のすべてに
署名押印をしていくわけです
業者さんによっては、さらに後日の証のために引渡確認書や決済立合確認書または鍵の引渡証などへの署名捺印を求めてくるところもあります

この勢いに飲まれて
場の状況に流されるまま
気が付いてみると契約が終了してしまった
ということもあるので

「?」と思ったら、その時にすぐに
確認しましょう

出来上がったら内容をもう一度確認し
わからないことがあったら何度でも
確認しましょう

仲介業者が
何のために誰のために存在しているか
といったら
あなたの権利を守るため、なのです

そのために雇っているわけです
遠慮することはありません

そして売買契約書こそが、将来にわたって
当事者を守ってくれる、とても
大事なものなのです

 

口約束(くちやくそく)

 

後日、問題があって裁判になったら

あの時売主さんがこれをやってくれる
と約束したはず

とか

一か月以内に完了するはずと
仲介さんが保証してくれた

などと主張しても

それが単なる口約束だとしたら
証拠としては弱いです

 

くち約束であっても、相手方が
くち約束があったことを認めれば良いですが

そんな約束はした覚えがない
証拠があるのか!
と言われれば

それまでです

 

たとえばこのように売主の方は
主張するでしょう

「買主さんは当初そのように主張していましたが私どもでそれを約束した覚えはありません。
もしもそのような約束をしたのであれば
当然、契約書の第29条の特約の欄に
その旨を追記していたはずです。
そのように重要なことを
くち約束だけで済ませることは考えらないし
常識的に考えてあり得ないことです」

このように主張されたら
それまでではないでしょうか

 

契約書は何のため?

売買契約書は
決済のためや登記のために作るわけでは
ありません

法改正があったので
登記には契約書が必要と考える向きが多く
絶対にこれなしでは登記はできないと
主張する同業者もいますが
そんなことはありません

もちろん限りなく、あった方がよいです

そもそも契約は、
口頭でも有効に成立するものなので
登記に契約書が必要なわけではありません

 

ただ

契約書が存在しているのであれば、当方も
売買事実を確認する手段のひとつとして
コピーはいただきたいです

でも、契約書は本来
決済や登記のためにあるのではなく
後日のため、もっと言えば
何かあったときのために
転ばぬ先の杖として
作成しておくわけです。

売買契約書を大事にしてください