地面師と闘うのだ その3

地面師と闘うのだ とは言っても
どこまで疑えばよいのでしょうか

はっきりしていることはひとつ。

ほとんどのご依頼は、詐欺事件ではない
ということです

 

一体どこまで介入すべきか

 

地面師詐欺や、不動産詐欺を懸念しつつ
執務を行っていく上で

合理的な疑いが生じるような事情
がないときにまで

必要以上に深入りして追及するのは
いかがなものなのでしょうか

本人確認はやり過ぎくらいでちょうどいい
という先輩の意見もありますが。

 

ですがそれは

取引さえ安全に行われれば
当事者との人間関係が
滅茶滅茶になってもよい

ということを意味しません

 

痛くもない腹を探られるという思いを
お客様にさせるのは本意ではありません

 

・ご本人が

・売却意思をもって

・決済に臨んでいる

としたら
(ほとんどの場合が、その通りなのですが)

それを
手を変え品を変え
確認という名の、ある意味
「あなたを信用していません」という
アッピールをし続ける司法書士。。。

失礼を通り越して、滑稽でもありますが。

でも私たちが思うことはただひとつであって
その取引を安全に確実に行いたい
というただそれだけなのです。
どうかご理解ください

 

悪意がなければよいのか

なりすましている人が全て
悪意がある人ではありません

(これはこれで、怖いことです)

 

司法書士「ご本人ですか」

所有者「ハイそうです。○○で~す」

 

というやりとりの後で
書類をお預かりして

委任状等に署名捺印していただき
身分証明書を拝見したあとで
(運転免許証もちろん写真付き
司法書士は、その同一性を確認した)

当日の
不動産の代金の授受の仕方について
確認しようとしたところ

「それは本人でないとわかりませんけど」

と言われ「???」

 

え???
ご本人ではなかったということ??
なりすまし??

 

悪意なき第三者
(妹だったか、姉だったか)による
なりすまし未遂事件でした

本人は都合で来れない、と。

 

司法書士「たしかさっきご本人だって
言ってませんでした?」

偽所有者「本人からすべての件を任せるから
よろしくと言われてますよ。だから
本人と同じです アタクシは
○○の姉(妹)ですよ
他人じゃありませんよ(なんて失礼な司法書士!)

 

 

ここに気を付ける

 

書類

通常の売買登記においては、
権利証(登記識別情報)と印鑑証明書が
絶対に必要です

平成18年頃までは
現在の登記識別情報という情報ではなく
登記済証(いわゆる権利証)が
登記に際して使われていました

さらに、司法書士が用意する
登記用委任状と
登記原因証明情報という書類に

本人の署名捺印
(登録印つまり、実印で)を
してもらうわけです。

中には
ご自分ですべて委任状等を用意する
所有者の方もいますが、例外的です

 

偽造された権利証や印鑑証明書は
その道のプロが念を入れて作るものなので

通常の注意を払っただけでは
それが偽造であることを見破ることは
困難かもしれません

登記識別情報は偽造できません
(たぶん)

なので
こうした場合に詐欺を行うには

識別情報失念を装って
本人確認情報作成によるか
事前通知制度を選択することになります

 

実際に摘発された事例では

司法書士が書類を確認してOKということで
無事に決済になったにも関わらず

法務局で登記する際
調査官が印鑑証明書の偽造や
権利証の偽造等を発見して
登記に至らなかったというハナシ

がいくつもあります。

 

権利証については多くの場合
司法書士は、その体裁を見て

きちんと綴じられているか
間の何枚かがが抜きとられてないか
登記受付番号が
登記記録と異なっていないか、さらに
権利証上の権利者氏名住所
義務者の氏名住所等が
登記記録の記載と異なっていないことを
確認します

たとえば、
住所変更しているのにも関わらず
権利証の記載がその変更後の記載だと

それは、おそらく
ホンモノではない可能性があります
というか、偽造権利証そのものです

なのですが、多くの司法書士は
このあたりしかチェックするポイントを
持っていません

 

一方で登記所の調査においては

登記済みの印判
(紙の権利証に押されていたもの)

その時期に使われていたかどうかなど
についても確認するらしく

こうなると、司法書士には
手も足も出ないというか
勝ち目はありません

これを根拠に偽造が摘発されたことは
けっこうあると聞いています

 

やはり、司法書士の眼力は
大したことはないのでしょうか
(自分で言う。。)

かくいう私も
偽造書類を見破る自信はありません。

誤記誤字を発見することは
もちろんできますが(できると思いますが)
パッと見てわかるような
誤記のある書類を偽造する人は
通常はいないはずです。

 

話の不自然さ違和感

 

こうした詐欺に共通した特徴として
妙に決済を急がせる、というものが
あります

その人たちも人間なので
悪いことをするにあたっては
そう悠長に構えていられるものでは
ないのでしょう。

 

すぐに!とか
今週中に!とか(今日は木曜日の夕方)
今月中に!とか(もう、あしたは31日)
とか
とか

ともかく、ある時パッと来て
すぐに書類を作成するよう求められます。

または、4,5人でワッと来て
今から売買するから決済してくれ
今日中に登記出してくれ
などと
言う、というか、吠えるわけです

 

その急いでいる理由が

念を入れた嘘、のような感じだったり
中には、理由も明らかにしないで
ともかく早く登記したいと買主が言ってる
の一点張り。

こういうのを違和感というのでしょう。

 

特に

初めての依頼者の持ち込んでくる
急ぎの案件

というものは要注意と言われています

 

それにしたところで
もちろん事件性のないものがほとんどです

おそらく、ですが。