養子に行った兄弟にも相続権はあるの?
他家へ養子に行った兄弟にも相続権はあるのか
相続登記のご相談をうけました。
お父さんが亡くなり、残されたのは、家を継いだご長男のみ、とのことです。
法定相続人は誰?
戸籍を取得してみると、養子に行った弟さんがいました。
その旨をお話すると、ご長男は、
「あれは、もう、この家の子供ではない!家を出た人間だ!
親父の相続をする権利なんか、これっぽっちも無いはずだ」
と、どうにも納得できないご様子。
法定相続人、法定相続分とは
しかし、
養子に行ったからといって、相続権はなくなるものではありません。
法定相続分は兄弟お二人だと、2分の1ずつ、です。
また、法定相続分で分ける必要があるのかというと、そういうわけでもないのです。
法定相続分とは、民法によって決められた相続分のこと。
ただし、実際に誰がどのように相続をするかについては、通常は、遺産分割協議によって、互いの合意のもとに定めることが多いです。
親子関係は切断されているはず
たとえば、両親が離婚して、兄Aが父親の元にとどまり、弟Bが母親の再婚相手と養子縁組をして親子となった場合も、
弟Bの、「実の父親の財産を相続する権利」は消失しません。
この弟Bは、実の父親、さらに、養父、双方について相続権があります
(もちろん、母の財産についても兄Aも弟Bも同じく相続権はあります。)
離婚したら、夫婦ではなくなりますが、
他家へ養子に行ったとしても、
両親が離婚してしまっても、
親子関係はずっとそのまま親子として続きます。
養子縁組制度
念のためですが、特別養子という制度があり、これは、法上、親子関係を切断してしまう特殊な養子縁組です。
戸籍上も、ちょっと見ただけだと、実子であるように記載されますが、
知っている人が見ればわかります。
普通の養子であれば、
戸籍には、はっきり「年月日養子縁組」と書かれていますから、
簡単にそれと知ることができます。
探す必要があれば、親の側からでも、子の側からでも、
互いに戸籍をたどることはなにも難しいことではありません。
相続の実務ではこのように
冒頭の相続のご相談については、いずれにしても、
弟さんの同意、協力がなければ手続きはできないことをご説明いたしました。
ただし、弟さんが遺留分(この場合は、お父さんの財産の4分の1)を主張しなければ、お父さんの財産を、ご長男がひとりで取得することはできます。
その際でも、
- 弟さんから、遺産分割協議書に実印での署名押印をもらうとか、
- 期間内であれば、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をしてもらうか、いずれかの協力は必要となります。
遺留分とは、
- 遺言などをもってしても奪うことの出来ない、相続人に留保された相続財産の割合のこと。
- 被相続人の兄弟姉妹にはありません。
- ただし、遺留分を侵害されていても、自動的に侵害されている人に権利が移るというわけではありません。
- 権利を侵害されている人から遺留分減殺請求(返して!ということ)をして初めて自分の権利にすることができます
- 相続及び遺留分を侵害されていることを知ったときから1年。
または、相続が開始したときから(亡くなったときから)10年で時効消滅します - つまり、遺留分減殺請求がされなければ、遺留分を侵害していても権利はそのままということです。(遺言等の内容がそのまま実現される、ということ)
要するに、
何かご事情がおありだったのでしょう
しかし、養子に行った兄弟にも、民法上、相続権はあることをお忘れなく。
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千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。