共同相続の罠(わな)!
共同相続登記
その、信じられない罠(わな)とは!
相続の共有登記は、同時にします
相続については、共有者全員一緒でないと
登記できません
自宅の土地と家を同時にするとか
持っている不動産を全部いっぺんに、という
意味ではなく
ひとつの不動産を数人で共有相続する
という協議がまとまった時は
同時にその数人全員の分の登記をする必要があるということです。
登記自体は、一人の委任状があれば可能です
詳しくいうと
AとBでこの土地を相続することになった場合
Aが、自分の分だけ相続登記をすることはできません
両者同時に相続登記をする必要があります
委任状は片方だけでも登記は可能です
具体的にいうと
亡くなった人(亡お父上)から
AとB(共有者全員)が相続したのであれば
AとBに同時に所有権移転をする必要があるのです
これをもしも
自分の分だけの相続登記ができるとしたら
登記簿上の記載が
持分2分の1 亡お父上
持分2分の1 A
となってしまい
公示上
被相続人と、相続人の一部の者との共有
のような状態が生じてしまって
望ましくないから、とされています
実体上は
AとBの共有状態であるにも関わらず、ということだと思います
調停ならば可能なのか
遺産分割協議のみならず
調停や審判などでも
「AとBは共有で相続する」という合意ができたとしても
やはり
原則として両者の委任状が必要です
(片方だけでも登記は可能です)
通常、裁判などで判決がでると
原則、権利者だけの委任状があればOKで
通常必要とされる義務者の実印、印鑑証明、権利証は不要です
相続についても、調停で単独所有と決まれば
ほかの相続人から分割協議書や印鑑証明書を預かる必要はありません。
しかし、共同相続ということになると話が変わってきてしまいます
こうした場合
保存行為として
Bの委任状がなくても、保存行為として
Aの委任状だけでABふたり共有の登記をすることは可能です
可能ではありますが
ただ、それをしてしまうと
委任状のない側つまりBについては
登記識別情報が通知されないという扱いが
されることになります
その結果
Bにしてみれば勝手に相続登記をされるのはともかく(そちらは調停等で合意しているのでおそらく問題はない)
自分の分の登記識別情報が通知されないということには、憤りを感じるかもしれません。
特に、売却予定があったりするならば。
登記識別情報が通知されない、とは?
登記識別情報は、いわゆる権利証なのですが
その権利に担保をつけたり
誰かに譲ったりする際の登記手続きに必要とされるものです
紛失したり
そもそも最初から通知されなかったり
あるいは失効させたりによって情報を提供できないときは、それなりの手立てがあるので
そこは心配無用です。
ただし、別途、費用が発生したり、若干の
不便な事態になることがあるので、原則、
登記情報はあった方がよいとされます
共同で登記をする件
共同相続の手続きに際し、AからBに対して
あなたの委任状も登記に必要なのですって。書いてくださる?と言えるようであれば
問題ないです。
そのような話ができる間柄であるならそれに越したことはないです
ただ、そもそも話し合いが順調に進行しなかったからそのような解決手段(調停とか)をとらざるを得なかったのでしょう?
そのように、書類を依頼したり
仲良く両者で登記を進めることが可能なものでしょうか。
委任状だけではなく、他にも話し合いが必要な事項がいくつかあります
・どの司法書士に依頼するのか
・登記費用はどのように負担するのか、その支払いは?
・登記後の登記識別情報通知は、誰が、どのように預かってくるのか等々。。
以上の話し合いは
通常に話ができる関係であれば、なんということもないことです。
ですが、順調ではない関係性のままだとしたら、どれひとつとっても
うまく物事が進行しない原因となり
つまりは争いの火種となりかねません
そもそも、だからこそ、調停や審判になったわけです。
法定相続
裁判や分割協議をした場合だけではなく
法定相続についても事情は全く同様です
自宅の登記を、4人が法定相続人だった場合
1人からの申請で4人分の法定相続持分による登記ができます。
なので他の3人が全く知らない間にそのように法定相続分での登記が勝手にされてしまうということもあります。
登記自体は可能ですが、しかし、そうすると
ほかの共有者については、登記識別情報が通知されないという結果に。
もちろん、その共有者がそれでいいということであれば、
通知されないからと言って問題ではないでしょうが
知らない間に
相続登記を勝手にされてしまい、かつ
その登記識別情報がない、ということだと
そうなると、それはそれで
一波乱あるかもしれません。
判決等による登記
通常、裁判などで、確定判決がでると
原則、権利者だけの委任状があれば、
義務者のハンコや権利証は不要です
相続についても
調停や審判で単独所有と決まれば、
ほかの相続人から、分割協議書や印鑑証明書を預かってくる必要はありません。
これらをご存じの方は
調停が成立してるのに、相手方の委任状が
必要ということはおかしいのでは?
と思われることもあります。
しかし、そのように不動産登記法上の先例があるので、仕方がないのです。
共同相続の時でも、相続人全員名義であれば保存行為として各相続人から単独で相続の登記を申請することができるが、
自己の相続分についてのみ相続の登記を申請することはできない
~昭和30年10月15日民事甲2216号回答
つまり、AとBが共有で相続するという合意をしてしまうと
どちらも自分の分だけ相続登記をすることは不可能です
調停等において
そのような解決案を提示されたら
そのような危険性がたっぷりあることを
ぜひ
ぜひ
お忘れなく。
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。