会社登記を忘れて罰金が!

会社の登記を忘れて罰金が

 

会社の登記を懈怠(怠る・忘れること)すると
裁判所から罰金を支払えという通知が来ます

 

会社の登記・・
役員変更とか、本店変更とか、
のような登記のことです

会社が土地を買ったとか、そのような
不動産関係の登記のことではありません

 

ほとんどの場合は、司法書士が登記を申請する時点でわかっているので、

「罰金が来ますよ。多分○○円くらい」

とお伝えしているのですが、
登記が完了してから数ヶ月後に通知がくるためか、びっくりしてお叱りの電話がかかってくることがあります

 

罰金はこのようなときに

 

罰金の種類には、たとえば、
役員の変更登記を例にとると
(この罰金がほとんどです)

罰金がくる理由は次のどちらかです

 

 

・役員の選任(重任)決議をすべきときにしなかった
選任懈怠(せんにんけたい)

 

・選任決議はしたが、それにかかる登記をしなかった
登記懈怠(とうきけたい)

 

以上のどちらに対しても罰金(過料・かりょう)はかかってきます

 

会社法第976条第1項
(すべきことをしないと)100万円以下の過料に処する

 

具体的にはこのような感じです

選任懈怠

 

2015年で任期が満了となっている株式会社の取締役について

選任を忘れて2021年に選任およびその登記をする場合は、選任懈怠となります

会社法第976条第1項22号 取締役、監査役等が法律または定款で定めた員数を欠くことになったときにその選任手続きを怠ったとき は過料 に該当します

 

 

登記懈怠

 

2015年で任期が満了となっている株式会社の取締役について

 

選任はしたけど、登記を忘れた場合です。

2015年付就任という内容であってもこのほど2021年に登記をすると、登記を忘れたので、登記懈怠となります

 

会社法第976条第1項第1項 この法律の規定による登記を怠ったとき は過料  に該当してしまいます

 

 

また、会社の登記は役員変更ばかりではありません

商号変更とか、
本店を移転するなど。また、
事業目的を追加削除するということもあります

が、いずれの場合も、必要に迫られて行う変更だったりするので、この登記を忘れることは通常考えられません

それどころか、一刻も早く登記を上げてほしいという要望があるのが、これらの登記です

しかし
このようなときにもぼんやりしていると
商号・本店・目的等の変更期日から2週間経過してしまうと、罰金の対象となりえます

 

 

なんて面倒な役員登記

 

株式会社と異なり、
有限会社や合同会社は、
メンバーが変わらなければ役員の登記をする必要がありません。

が、株式会社は、同じ人が続投ということでも重任(同じ人が任期満了退任と同時に就任すること)の登記が必要なのです

これが毎年ならば税金申告と同じなので忘れることもないでしょうが、中小会社であれば任期が4年だったり、10年だったり、いろいろです。忘れないほうが不思議というものです。ともかく面倒なことにはかわりありません。

 

また、任期満了ばかりではなく、
役員の死亡や、辞任の際も
全く同じように

必要があれば新役員の就任も含めて
その日(死亡日・辞任日)から2週間以内の
登記が求められています

 

 

役員の登記は

 

1 任期満了時または満了前に株主総会で新役員を選任する必要があります

2 新役員でなくて、同じ人ならば選任する必要がないのかといえば
それでもやはり任期が満了している以上
選び直しおよび再度就任承諾をしなければなりません

3 選任した日から2週間以内にその旨の登記をする必要があります

4 登記する責任は、代表取締役にあります

5 選任決議および就任承諾がなされても登記を忘れてしまったら、登記懈怠で罰金きます

6 選任すること自体を忘れてしまったら選任懈怠で罰金きます

なお、登記の責任は代表取締役にあるので、
罰金は裁判所から代表取締役個人あてに来るそうです

その過料は、会社の経費にはならず、
代表取締役個人の出捐になると言われています

 

で、課せられてしまったら、これを逃れる手段は基本的にはありません。

ただ、
手続きが遅れたことに特別の理由があるなど
異議申し立てが可能な事例もあります

異議申立自体はどのようなときでもできますがその異議が認められるかどうか、は裁判所の判断です 「司法書士が任期計算を間違えた」などは異議事由としては認められません

 

罰金の額の目安?

 

たとえば、
株式会社においては、

役員の任期が満了したら、
必ず新役員(同じ人でも可)を選任し登記は選任の日から2週間以内にすべし、という法律があります

罰金については、

本来は2週間以内にされなかったときに課せられるわけですが、実際の運用としては、6ヶ月くらいの猶予が与えられているようです

 

数年経過していたらまず100%といっていいくらいにもれなく過料が課されることになります

登記申請を受託する司法書士は、
登記簿を確認した時点で承知しているので
そのこと(罰金きますよ)をお伝えします

いくら位、ときちんとお伝えできればと思いますが、実は、
過料の額の目安が公表されているわけではありません。

実際に過料が課された会社からの情報提供に頼るほかありません。

で、ほとんどの場合はわざわざ知らせてはくれないので、細かいところはいかに司法書士といえどもわからない、のです(過料を課してくるのは法務局ではなく、裁判所です)

そして裁判所に問い合わせても、教えてはくれません。

一応、目安はあるので、心の準備ができるように少し多めにお伝えはしておきますが。

 

また、罰金の課しやすいものとそうでないものがあるようです

役員変更等は、時機に遅れる登記を出した時点で、懈怠が判明してしまうわけです。また、10年間役員変更がされていないとしたら、それもまた登記簿の記載から判明してしまうわけです。(登記所から裁判所にその通知がいく)だから簡単に課金(!)できてしまいます。

しかし、同じく会社法976条には、定款、株主名簿の記載、備え置きなどの義務違反も列挙されているのですが、それらの不備によって罰金が来たというハナシはこのあたりでは(小規模会社)聞きません。

 

そんなら、会社の組織変更してしまう

 

それならば、

役員変更をしなくていい会社役員任期のない会社
はないのか、と言ったら、

ずばり

合同会社がそれにあたります。

有限会社も役員任期のない会社ですが、会社法上、今から有限会社を設立することはできません

株式会社を組織変更して合同会社にすることができます
(有限会社にすることはできません。)

ただし、重任登記は不要にはなりますが、
合同会社には株式がないので、
株式上場ができません。

株式公開を予定しているのであれば合同会社は不向きです。

しかし、小規模の会社だったり、
家族経営の会社だったりしたら、
コンパクト設計の合同会社はアリだと思います

ちなみにアマゾンジャパンも西友も
株式会社から合同会社に組織変更をした会社です

 

不動産登記についての罰金は

 

不動産の登記を懈怠しても罰金は
基本、ありません

 

表示の登記を懈怠すると過料10万円という法律はありますが、それはほとんど適用されることがないようです

 

登記懈怠すると過料10万円が適用される
不動産登記法第164条

  • 土地の表題登記
  • 地目変更・地積変更
  • 土地の滅失
  • 建物の表題登記
  • 建物合体(2個以上の建物を1個の建物に合体したとき)
  • 建物表題部の変更(増築・一部取り壊し等)
  • 建物滅失

など。いずれも一ヶ月内に。

以上の申請をすべき義務があるものがその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する

 

また、現在のところ、
不動産の売買や贈与等をしたときに
登記を忘れているとか、または
意図的に行わない場合でも、
特段、罰金は来ません。

ただ、今後、

相続登記等について、3年以内にしないと
罰金がくるような改正がなされる見通しです

 

 

最後に

 

そういえば、
もう何年も役員の登記などしたこともない

お嘆きの社長さま。。。。

いずれにしても罰金は来ますが、一日でも
お早めの登記をおすすめします

ご相談はどうぞお気軽に