遺言執行者って何者?

遺言執行者って何者???

 

遺言執行者とは、あなたが遺言をのこして亡くなった後、あなたに代わって遺言内容を実現してくれる人、です。

(法的には相続人の代理人と位置づけられています民法1015条)

 

 

例えば相続権のない人(愛人、または友人、または寄付を必要としている団体etc…)に財産を遺そうと思い、その旨の遺言書を書いた場合。

遺言執行者が定められていれば、何ということもありませんが。

 

遺言執行者を指定してない場合

 

遺言執行者が決められていなければ、家庭裁判所にその選任を求める必要があります。
利害関係人から請求します。
概ね1ヶ月から2ヶ月で審判はおりてきますが、ま、面倒です

 

または、法定相続人と顔見知りで、気軽にお願いできる、ということであれば、遺言執行者を選任するまでもないかもです。遺言内容が複雑でない場合ですが。

 

代わりに、法定相続人全員の署名押印と印鑑証明で、その遺言を実現することとなります。

 

つまり、法定相続人と顔見知りで簡単にお願いできる関係だとしたら、わざわざ遺言執行者を選ぶ必要はないかもです(単純な遺贈の場合)

しかしながら、それを歓迎してくれない法定相続人だとしたら、面倒でも遺言執行者を選任する必要があります

 

いずれにしても、遺言書に「Aさんにあれもこれも遺贈する。」と書かれてあった場合でも、Aさんが相続人でなかった場合は、単独で手続きをすることはできません。

遺言執行者を選任するか、法定相続人全員の力を借りるか、いずれしか選択肢はありません。

 

なので、遺言書を作成するのであれば、遺言執行者を定めることをお忘れなく。そうでないと、あなたの愛情が無駄になることもあります。

せっかく財産を譲り受けたのに、手続きの煩雑さにあきらめてしまうことがあるかもしれません。

 

「裁判所に遺言執行者の選任を求めればいいだけですが。書類を数枚書いて窓口に出すだけなのですが。簡単でしょう?」

そう言えるのは、経験があるから又は腕に覚えがあるからです。

素人さんというか、実際に日頃、法律文書に馴染みのない方にそれを求めるのは酷だと思います。

 

遺言にこのように書く

 

たった一言付け加えるだけですみます。

 

遺言の中に、例えば

  • 「誰それに全財産を遺す。同人を遺言執行者として指定する。
    または、
  • 「誰それに全財産を遺す。遺言執行者としてどこそこの〇〇弁護士を指定する。

のようなものでOKなので、一言入れておくことをおすすめします。

 

遺言執行者さえ選任されていれば、ご自身の遺産はご自身の選択に従って、譲りたい人の手に間違いなく届けることができるのです。
(遺留分を考えなければ。)

 

ただ、遺言の内容次第では、実務経験のない人には少々困難なこともあります。

そのような内容の遺言をするときには、遺言執行者として 弁護士なり司法書士なりを指定しておく方がよろしいかな、と思います。

 

遺留分?

 

遺留分というものがあるので、必ずしもご自身の遺産を100%好きなように処分できるわけではありません。

納得できないかもしれませんが、我が国の法律でそのように定められています。
(民法1028条)

 

お忘れなきように。

 

せっかく遺言があるのに、執行者を指定してなかったばかりに、遺言実行に手間取ってしまうことがあります。

その挙げ句に、遺言者の遺志が無に帰す という事態になることもあります。遺言者としては、痛恨の極み、ではないでしょうか。

 

どうかそんな事態になりませんように。

遺言作成時には、ぜひ思い出してください。

 

おそらく、公証役場において遺言作成するときはそのようなアドバイスがあるはずです。

自筆遺言の時はどうか、思い出してください

 

最期のメッセージ

 

そして、遺言は、残された方々への最後のメッセージです。

書き直しはいつでもできますが、書けない状態になってからではどうにもなりません。

そして私達は、いつなんどき、事故や急な病気に倒れてしまうのか、誰にもわからないのです。

元気いっぱいの吉日にしたためる遺言書であったとしても、

「いつでも好きな時に書き直せるもんね」

などとお思いになりませんように。

 

ファイナルアンサー、と肝に命じて筆を取りたいものです。