遺産相続、何をすればいいの?

遺産相続、何をすればいいの?

 

具体的にはこのように。

 

例えば、Aさん(男)が天寿を全うし(88歳)、有る日の午後、亡くなった。

遺した財産は不動産、預貯金、有価証券、現金、愛用のゴルフセット、2部屋分の古い書物。

負債は、今の所、不明(知れたる債務なし)

 

これを相続権のある人(法定相続人といいます・この場合、妻と子ども3人)みんなで、
どのように、分けるのか、或いは分けないのか、を相談します。

 

まず、プラスもマイナスも洗い出す

 

法定相続人全員で相談するにあたって、まず大事なことは、遺産の範囲をはっきりさせることです。

債務も、はっきり確定させること。

以上がまず、必要です。

 

分ける対象がはっきりしていなければ、あとからあとから財産や負債が発見されるようだと、法定相続人が4人もいる場合はお手上げではないでしょうか。

 

遺産の分割協議をする

 

一番問題になるのが、やはり遺産の分割でしょう。

これが決まらないばっかりに、家族仲、兄弟仲、夫婦仲、が悪くなることはよくあります

遺産がたっぷりあるから、とは限らず、むしろ、家1軒、現金預金あまりなし、というようなときなど、が問題となることがあります。

あればあったで、なければないなりに、問題になります。

あってもなくても揉めるときは揉めるわけです。


やっぱり、家と土地は長男のオレが。だってさオレがどうせこの先ずっと母さんの面倒を見るんだから。     あ~ら、だったら、そのかわり、お金と株券はアタクシが全部戴きたいわ。   まっ、お姉さんたら、最初の結婚、次の結婚、その次の結婚のたんびにお父さんからごっそり贈与受けてたじゃないの。     何言ってんのよ、あなただって、大学生を8年もやって、おまけにイギリス留学だって何やってたかわかったもんじゃないけど、さんざん、お金を遣わせてたくせに、云々云々


このような展開にならないことをお祈りしますが、こうならない保証もありません。

 

協議がととのったら

 

その相談結果を遺産分割協議書という書面にし、全員の印鑑証明書を各1通つけましょう。

これを使って、不動産の相続登記や、株券有価証券の名義の変更などをします。

金融機関によっては、専用の書式を要求されることがあるので、銀行ごとに個別に確認が必要です。

 

 

名義の書換をしよう

 

名義の書換が必要になるのは、

不動産、有価証券、株式、ゴルフ場の会員権 自動車、などです。

すべて、ご自身で手続なさることが可能ですが、時間と情熱のないかたは、各専門家に依頼してしまうのが、早くて正確でストレスなしで、さくっとできます。

 

  • 不動産は、司法書士が名義変更をします
  • 株式、ゴルフ場会員権、自動車、の名義変更、預貯金の払い戻しは、行政書士
  • いろいろあっていちいち面倒という方は弁護士に丸投げしてしまうのがよろしいかと思います。
  • で、必要があれば相続税を申告して 納付します これは、税理士

 

ここまでの作業を、多くの場合、遺産相続といっているようです。

 

 

こういうこともあります

 

・ 相続放棄をする

 

明らかに債務が多くてとても弁済できない、または、したくない。そのようなときは、お父さんが亡くなってから原則3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をします。

 

それが受理されると、最初から相続人ではなかったことになり、債務の弁済義務から解放されます。

しかし、後日、実はお父さんは債務を上回る多額の財産を隠していたことが発覚した場合でも、いったん放棄してしまっていたら、それを撤回・取り消すことは原則としてできないので、ご注意ください。

 

・法定相続分で分割する。

 

例えば、遺されたのが、妻、と長男、長女、次女の4人だとします。

そうするとそれぞれの法定相続分は妻が2分の1、3人の子はそれぞれ6分の1ずつとなります。

民法で定められた持分で相続するので、分割協議をする必要はありません。

 

ただ、不動産などは、4人共有で登記されることになるので、将来、ご売却などする際に全員の同意及び捺印が必要になるので、若干面倒なことになる可能性があります。(ひとりでも同意しない人がいたら売却不可能

法定相続分については民法900条に定められています。

 

・調停で決める

 

協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、調停人の前で 相談します。

まとまらないまま終了することもありますが間にワンクッションおくことで、不思議とみんなの頭が冷静になります。反対に熱く燃え上がってしまう人もいますが。

 

・裁判

 

さらに、調停でまとまらないときは、裁判沙汰になることもままあります。

調停は、調停人を交えての話し合いなので、全員が納得すれば、どのような形にも決着ができます。

ですが、裁判は、皆の意見を聞いた上で、裁判官が判決をするものです。

この判決が気に入らない人、納得できない人は、上級の裁判所に控訴をします。

こうなってくると、いわゆる、泥沼化 ですね。

 

 ですが。

 

お父さんの生前は仲がよかった家族だったのに、遺産相続をきっかけに、家族の心が離反してしまうとしたら、それは残念なことです

 

亡くなった方はどんな思いをなさっていることでしょうか。

 

悲しんでいるばかりとは限りませんが。

家族のバイタリティに快哉を送っているかも知れません。か弱い女と思っていた妻が思いのほか善戦するのをみて、腹を抱えて笑っているかも、です。

 

亡くなってしまってからではどうにもなりませんが、できれば、遺書をお書きになり、法定相続人それぞれが納得するような一言を添えることをおすすめします。

 

また、さりげなく、その遺言の内容に触れつつ、法定相続人が悲しまないように、事前の理解をもとめておくのも一案です。

 

ですが、残念ながら、これが万全というものはありません。

 

よかれ悪しかれ 人は変わってしまうものです。