遺産分割協議書のつくり方

遺産分割協議書の作り方

 

全員で分けないといけませんか

 

相続人全員での遺産分割協議がととのったら、
いよいよ「遺産分割協議書」を作成します。


分割協議、
というので、
「必ず分けなければいけないのでは?」と
ご心配なさる方がたまにおいでですが、
そんなことはありません。

分割協議とはいうものの、
遺産を誰が相続するのかを決めるための相談をする
という意味です

分けてもいいし、
分けないで誰か一人が全部相続する、という遺産分割協議も
もちろん有効です。

 

具体的なつくり方は?

 

  • ワープロ打ちでも手書きでも、OKです。
  • 手書きの際にさすがに鉛筆はまずいですが、
  • 普通のボールペン、万年筆等々、何でも大丈夫です。

 

  • 協議された内容を、誰が読んでもわかるように具体的に書いて、
  • 日付を書き、
  • 各自が署名(記名でも可)
  • そして捺印をします。

このような感じにします(簡便なスタイル)


遺産分割協議書

2018年9月9日、被相続人片山えりり(本籍千葉県茂原市上の林18番地4)
の死亡により開始した相続について、その遺産について相続人全員で
協議をした結果、次の通り決定しました。

遺産のすべては長男である堀井武文が取得する

以上

2018年12月12日

相続人 千葉県茂原市上の林1番地84 片山るりり  実印

相続人 千葉県茂原市上の林184番地 片山ゆりり  実印

相続人 千葉県茂原市上の林1841番地 堀井武文  実印


 

原則として、全員実印を押し、印鑑証明書をそれぞれ1通添付
これで、OKです。

 

ご注意を。忘れてはならない大事なこと。

 

1 遺産分割協議は、相続権のある人全員でします。

するべき人が一人でも欠けていると無効な協議ということになります。
せっかく作成しても、使えません。

離婚した妻が引き取った子供、とか、
ずっと昔に養子に出した子とか、
相続人のチェック漏れがないことを確認しましょう。

亡くなった兄弟がいたら、そのお子さんにも相続権があります
この場合、亡くなったタイミングによっては、
その兄弟の奥様にも相続権があります

相続人全員でしないと、正式な遺産の分割はできません。

ただし、遺産分割協議さえ全員でされていれば、
遺産分割協議書は数枚に分かれていても大丈夫です。

それぞれが遠く離れて住んでいて、一堂に会することが難しいときなど、
同じ文面のもので、一人一枚作成し、全員の分をまとめて
これを遺産分割協議書として使用します。
これで、OKです。

 

2 未成年者は協議に参加できません。

 

未成年者がいると、その人は遺産分割協議に参加することができません。
代わりに、法定代理人(親権者、後見人など)が参加します。

 

a 親権者が相続人ではない場合

 

親権者が未成年者の法定代理人となって、協議に参加します。
必要な、署名捺印・印鑑証明書も、全て親権者のものです。

両親がそろっている場合は、お二人が法定代理人です。
片方では、駄目です。

離婚などしていた際は、
親権者として戸籍に記載されてる方が、法定代理人です。

 

b  親権者も未成年者と同時に相続人となっている場合

 

親権者は、未成年者の法定代理人になれません。
(利害が相反するので。)

利益相反は、協議の内容とは無関係です。
「未成年者が全財産を相続する」等の文言であったとしても、
親権者とその未成年の子が相続人であれば、外形から利益相反となります

未成年者の為には特別代理人を選任し、
その人の署名捺印・印鑑証明書が必要となります。

 

c  未成年者特別代理人

家庭裁判所に申し立てて選任してもらいます。

申立人が、特別代理人候補者を指定して申し立てると、
問題が無ければその方が選任されます。(相続権のある方は不可)

裁判所窓口で申立書の書き方等は教えてもらえますが、
ご面倒と思われる方は、
お近くの司法書士などに依頼された方が早いです。

 

3 後日の証の為に、遺産分割協議書は人数分作成する

 

 

これは、権利を相続する人もしない人も同様です。

用が済んでしまうと、潔く全部捨てる方もおいでですが、
これに関してはもう少し、お待ち下さい。

保存義務があるわけではないですが、

 

当時把握していなかった不動産があったことがわかったとき
同じく、離れた土地に預貯金があったときなどには、
遺産分割協議書(及び戸籍・印鑑証明書)が残っていれば、
それをそのまま使うことができることもあります
(財産全部は長男が相続する、というような文言だった場合)

 

廃棄または紛失してしまっていたら、
再度、戸籍の収集及び遺産分割協議をして、
相続権ある人全員から署名捺印・印鑑証明書をもらわないとならなくなります。

 

また、時間がたってしまうと、または、
当事者が亡くなってしまったあとなど、
「おじいさんの遺産はまだもらってないの?」などと、
お孫さんが心配することになったりします。

あるいは、署名捺印したご本人であっても、時間の経過とともに、
(特に、何ももらわないという選択をした場合など)
「私がそんな選択をするわけがない」などと、
当時の記憶がすっかり抜け落ちてしまう場合さえあります。

 

そんなときに、当時作成した遺産分割協議書が残っていると非常にいいです。

 

自筆で署名捺印した書類ほど、証拠能力の高いものはないですし、
それ以外に、時間と共に記憶が薄らいでいく私達、
納得させてくれる手段はありません。