自己破産にまつわる都市伝説的なもの。
自己破産に際して語られることの多いまるで都市伝説のような何か。
そもそも債務が過剰となって、返済できなくなって行き詰まった人を助けるために作られた制度です
なので、巷間、様々なウワサが
破産、自己破産者に対して飛び交っていますが、
それはまるで、悪い冗談のようです。または
自己破産させまいという闇の勢力によるものかも(!)と思われるほどです
本当だとしたらあんまりひどいのでは?
何のための自己破産?と
思われるようなことは、ほとんど都市伝説と考えてよいのではないでしょうか
(でも直感的に変だと思っても、実はそうでないものもあるのでご注意)
もくじ
自己破産とは
自己破産は、
- 債務が収入を超過しているなどして
- 返済が困難でそのために生活に支障を
きたすような人が - 破産宣告を裁判所に申し立てて
- 破産宣告および
- 免責決定 債務免除の決定のこと
これが出て債務者はほとんどの債務から解放される
を受ける手続きのことです
特にここで扱っているのは、会社の破産等(破産財団を形成するような大きな資産大きな債務 破産管財人が選任される)ではなく、
例えば親の医療介護費がかさみ、仕事も少なくなり、当初10万円から始めたカードローンが雪だるま式に増えて200万にも達し、とうてい返せるあてがない。。。というような自己破産についてのこととなります
では、借金は全てチャラになるのか
免責決定が出ると、ほとんどの債務は免責(つまりチャラになるということ)されるのですが、次のようなものは、免責されません
支払い義務が残ります
ただし、それが、生活再建に支障がでるような形で請求されることはないのでは、と思います。そうだとしたら何のための自己破産なのかわからないからです
税金
罰金
養育費支払い義務
損害賠償
いずれも支払い義務は免除されません
引き続いて返済しなくてはならない、ということです
自己破産についての勘違い
以下は、いずれも間違いです
戸籍・住民票に記載される×
勤務先に連絡が行く×
10年間、不動産は買えない×
選挙権を失う×
身分証明書(市町村発行のもの)に載る×
ただし免責が受けられないと載ります
運転免許証に記載される×
家族に請求がいく×
貯金ができなくなる×
生活保護が受けられなくなる×
これらは、全て、誤った情報です
おそらく他の制度と混同されたために生じてしまった勘違いです
たとえば、
・以前は禁治産(きんちさん)宣告というものがあって、これは、その事実が戸籍に記載されていました。禁治産は、現在の成年後見人制度の前身にあたる制度で、この宣告があると戸籍に記載されていたのです
・信用調査会社のいわゆるブラックリストには、載ります。自己破産や不渡り等によって債務を逃れたりすると、リストに5年、または10年載せられます
それによって、5年間とか7年間とかは消費者ローンが使えないとか、住宅ローンは10年間組めないとか、決められているようです。ローンは組めませんが、不動産の買主になることまで禁止されているわけではありません
・裁判で負けて強制執行を受けると給料が差し押さえられることがあります
しかし、破産免責ではこのようなことはありません。なので、普通にしている限り、会社に知られてしまうことはありません。
警備員とか取締役とかは免責されない限りそのまま働くことはできませんので注意
・債務を負ったまま死亡するとその債務は相続人に相続されることになります。
ですが、債務者が生存中に自己破産し、
免責を受けると、その債務は
返済しなくてよいことになるので、
家族に害が及ぶことはありません。
これも、誤解です
保証人、連帯保証人がいるとしたらその責任は残ります
・自己破産の申立をしても生活は続いていきます
働いた収入は自分のものです。
破産財団に属するわけではありません。
食べるものも食べないで貯金をしたとしたら当たり前ですがそれは全て自分のものです
破産したからといって口座が持てないわけではありません
しかし、破産申し立てをするにあたって
隠し口座や隠し資産を保有していると、
あとで非常にやっかいなことになります
(たぶん、免責はうけられなくなります)
以上、都市伝説のほとんどが、
少しずつ似たところのある他のシステムと
混同されてしまっていることがおわかりでしょうか
自己破産の実際のところ
身分証明書について
この場合の身分証明書とは、
本籍地のある市町村に本人が請求して得られるもの、のことです
通常、身分証明に使われることが多い
運転免許証とかパスポートのことではありません
身分証明書には、
自己破産して免責を受けられなかった場合は
そのことが記載されます
免責されていれば、そのことは載りません
破産者名簿も同様で、
免責を受けられなかった時は載ります
破産者名簿をもとにして身分証明書は作成されるため
ですが、破産者名簿は非公開で
身分証明書は本人の申請によって交付されるものです
やたらに、気軽に、
第三者が見られるものではありません。
官報には載る
官報とは、毎日発行されている政府発行の新聞のような体裁のものですが、通常の書店等では売っていないため、普通の人の目に触れることはあまりありません
保証人には債務の請求が行きます
(ここ注意!)
債務者が自己破産免責をうけて債務を免除されても、
債務自体がなくなったわけではないので
保証人はその債務について支払う義務があります。
なので、債務者が自己破産した結果、その
(連帯)保証人も続いて自己破産せざるを得なくなることがあります
むしろ、自己破産しさえすれば楽になるのに、それをしない大きな理由が、保証人に迷惑をかけたくないから、だと聞いたことがあります
できない仕事がある
自己破産して免責を受けるまでは
次の仕事・職務には就くことができません
・警備員 ・生命保険募集人 ・古物商
・後見人 ・取締役 ・弁護士
・宅建主任士 その他
最後に
個人的には、一番衝撃だったのが、
免責をうけても免責されない債務が残る
ということです。なんとなく、全部チャラになるのではないかと思っていたので。
経済生活の再生の機会の確保~債務者を救済するため、というのが法の趣旨であるならば、多額の税金とか、そんなもの残されたらどうなのか、と思うものであります
破産法第1条(目的)
この法律は、支払不能または債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続きを定めること等により、
債権者その他の利害関係人の利害及び
債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって
債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに
債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする
あいにくですが当方では自己破産事件は取り扱っておりませんので、これ以上、内容に踏み込むことはできません。
一日でも早く、再出発をするために、
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