相続開始時期と相続分

相続開始時期によって
法定相続分は異なります

のみならず

相続人さえも異なることがあります

 

相続開始時期というのは

被相続人が亡くなった日、のことを
相続開始日といいます

 

法定相続人が誰であるかは
法によって定められていて

同時にその法定持分も定められています

 

なので
民法がときどき改正されるので

相続開始時期に施行されている民法次第で
相続人も法定相続持分も変わるわけです

 

今年亡くなった人と
100年前に亡くなった人では

誰が相続人かも異なりますし

家督相続であれば
相続人は一人しかいないですが

遺産相続だと、状況によっていろいろです

 

現在2024年9月時点の法律では

 

たとえば

Dさん死亡(被相続人)
相続人は、妻と子ども2人だったとき

それぞれの法定相続持分は

  • 妻2分の1
  • 子どもA 4分の1
  • 子どもB 4分の1

です

 

念のためですが、上記は
法定相続持分であって
これと全く異なる
遺産分割協議をすることは
問題ありません

たとえば、子どもAが全部相続し
他の2人は何も相続しないなど。

 

ところが、この法定相続持分
さらには
相続人の範囲についても

相続開始時期
(被相続人が亡くなった時期)によって
かなり違います

 

たとえば

昭和55年に開始した相続と
今年開始した相続とでは

家族関係にもよりますが
事情によっては

倍以上の持分の差異が発生しますし

そもそも
相続権の有無さえも変わってくることが
あります

 

大きな変更事項としては

 

以下の事例は
すべて被相続人に
妻と子ども2人がいた場合とします

 

1 相続開始(被相続人の死亡した日)が
昭和37年7月1日から昭和55年12月31日

 

妻    3分の1
子どもA  3分の1
子どもB  3分の1

なお、この時代の
兄弟姉妹の代襲相続は
無制限に適用されました

 

2 相続開始が
昭和56年1月1日から平成13年6月30日

妻    2分の1
子どもA  4分の1
子どもB  4分の1

 

※相続人が、妻と子ではなく
妻と親の場合、または
妻と兄弟の場合も

相続持分は現行とは異なります

また、この時代以降
兄弟姉妹の代襲相続が
その子(甥姪)までとなりました

 

3 相続開始が
平成13年7月1日から平成25年9月4日まで

非嫡出子(両親の婚姻によらないで生まれた子)の
相続分は

遺産分割協議未了の場合は
嫡出子と等しいとされました

協議がすでに済んでしまっている場合は
遡及しません
(非嫡出子の持分が嫡出子の2分の1であっても
有効です)

平成25年9月4日の最高裁決定
(民法900条4号ただし書きは違憲
~憲法14条1項違反)により
このように運用されることになりました

 

4 相続開始が
平成25年9月5日から、現在

子の相続分は互いに等しい、と
(民法条文から但し書きが削除された結果)
定められました

つまり、嫡出子と非嫡出子の持分は等分です

 

以上は、すべて法定相続持分です。

相続人間で
これと全く異なる遺産分割協議をすることは
問題ないので、ご注意ください

たとえば、子どもAが全部相続し
他の2人は何も相続しないなど

全員が合意すれば
どのように遺産を分割するのも
自由にできます

 

なお、相続・遺産分割についての
相続税等については、当方では
わかりませんので

税理士にご相談なさることを
お勧めします