相続登記イロハのロ

相続登記イロハのロ

戸籍などの書類がそろったら次にいよいよ
遺産分割協議をします

そもそも戸籍の収集を先行して行ったのは
相続人にモレがあると
協議が無効になるからです

隠し子がいた、とか
前夫との間に子供がいたとか
幼いころに養子に出した子がいた
など。

このように家族関係からは漏れていても
戸籍をたどることによって

相続人が発見されるというか
露見することは、わりとあります

 

遺産分割協議を行う

 

  • 全員で、協議する
  • 全員が合意する
  • 全員の署名捺印(実印)および
    印鑑証明書が必要

がポイントです

どれが欠けていても無効な協議です

 

全員が協議する。

 

遺産分割協議は、相続権のある人が
全員で行うべきものなので

一人でも欠いたらそれは
無効な決議です

なお
全員が一堂に会する必要までは
ありません

持ち回りで
協議書に順番に署名捺印していくのでも
有効です

また、一人一枚の
同文の協議証明書を作成し
人数分を合綴しても有効です

要は、大事なことは
相続権のある人全員が
その協議内容にOKをしたかどうか
ということです

 

ちなみに遺産分割協議は
たとえば取締役会議事録のように
「過半数の承認が得られたので決議された。ただし取締役Aは反対意見を表明した」
のような具合にはいきません

 

遺産分割協議は
多数決というか過半数の賛成で
決めるものではなく
全員の合意がなければ成立しないものです

 

 

全員が合意する。

 

要は
どのような不公平な
遺産分割協議であっても

相続人全員が同意すれば、全く
問題はありません。

不公平というのは、たとえば
1億円相当の遺産を長男が全部相続する
というようなものです

分割協議として問題がないという意味です
税金のことなどは一切考慮していないので
ご注意ください

 

同様に
どのように一見公平な協議であっても

一人でも反対する人がいる限り
その協議は成立しません。

一見公平な協議というのは、たとえば
現預金が1億円あった時に
子ども5人全員で2000万円ずつ分ける
というようなものです

 

公平か不公平かは
個別具体的な事情によって変わるものなので

一概に
金額的に法定相続分だから公平である
とは、言えません。

民法は、その不公平解消のために
特別受益や寄与分の規定を置いていますが

これも
当事者間で話合いがまとまらなければ
裁判所の判断を受けることになります

 

署名捺印。プラス印鑑証明書。

 

全員で合意ができたらその内容を
遺産分割協議書または
遺産分割協議証明書
という文書にします
(手書きでも印刷でも大丈夫)

ここには相続人全員の
住所氏名と、実印での押印が必要です

 

ですが

さらに、後日の証として
協議書には、できるだけご本人に
住所氏名を自書していただくのが良いかと
思います

中には
住所氏名すべてが印字されていて
実印だけ押された分割協議書も
ありますが
(この場合でも協議書として有効です)

それも当然、当事者の合意に
基づくものなのでしょうが

万が一のことを考え、(証拠能力という意味)
やはり、できるだけご本人の自署
求めたいところです

実印の保管の仕方によっては、家族はいつでも
全員の分の印鑑を押せる状況になっている家もある
と聞くので、後日の備えというか証拠としては
実印さえ押してあればバッチリというわけでは
ありません

 

署名があれば、印鑑証明書がなくても協議は有効という意見を聞いたことがありますが
それはもしかしたらそうかもしれないですが

協議成立の事実が果たしてそれで証明できるのかということと
そもそも
印鑑証明書を欠いた協議書では不動産の名義は
変えられないわけなので

絶対に必要です