相続放棄が認めてもらえない理由

これなら受理される!相続放棄申述書の
最強の書き方

 

相続放棄(家庭裁判所に対しての手続き)をする際には、

原則として、申立書を書いて裁判所に提出します

 

申立書の書き方

 

裁判所によって多少の書式の相違はあるかもですが、

放棄をする理由を記載するところに
選択式で

  1. 被相続人から生前に贈与を受けている
  2. 生活が安定している
  3. 遺産が少ない
  4. 遺産を分散させたくない
  5. 債務超過のため
  6. その他(     )

このような欄が設けられていることが多いです

このどれを選択したら
放棄を受け付けてもらいやすいですか

という問い合わせをいただくことがあります

 

 

どれでも一緒です

 

 

 

ちなみに、
6 その他の欄に
書かれることとして多いのは、

・関わり合いになりたくないから

これは、心底、仲が悪い家族の場合でしょうか

 

または、

・関係が遠いから

というのもあります

自分が子供のときに別れたっきりの実母の
放棄をするときなどでしょうか。

または

親しい親族が皆、放棄をしてしまい、
それによって相続人となった人もそれを
知らないまま死亡してしまうなどして
何代か前の聞いたこともないような
遠い親戚の放棄をしなければならなくなったときでしょうか

この場合は、
3ヶ月の熟慮期間をとっくに過ぎているので
そこをなんとか受理してくれるように
上申書を書いて放棄の申立をすることになります

 

いずれにしても
いろいろ理由はあるわけですが、
受理されやすい理由をあれこれ考えるのではなく
やはり、真実が最強です

真実を書くのであれば、いずれも一緒です

 

その内容に対して、

1であるならば、
いつ、どんな贈与をうけたのか

3の遺産が少ないというのは、
どういうことなのか、詳細に説明せよ。

などという質問は返ってきません。
たぶん。

 

 

 

郵送等によって家庭裁判所に放棄の申述をした場合は、しばらくすると、裁判所から照会(おたずね)の書面が送られてきます

 

照会状への回答の仕方

 

裁判所によって、書式はいろいろですが、
要は、

本当に放棄をしますか
放棄をすると取り消しはできないですよ
あとで、素晴らしい財産が発見されても
相続することは絶対にできなくなりますよ
それで本当にいいですね

と聞かれます。

それに対して

放棄をする、という意思表示を
するだけです。

家裁によっては、数枚にも渡って細かい質問を書き連ねてくるところもありますが、簡単には答えられないほど詳細な質問もあります

そうしたときは、不明または、
わからないを選択しましょう。
その選択肢がなければ、
チェックボックス等を自分で作ってそこを選択します

 

□わからない と追加で作って

チェック✓を入れて

☑わからない ←このように。

注意:これは私のマイ・ウェイですよ。なさりたい方は自己責任でどうぞ

 

ただし、

本人が裁判所窓口で直に手続きしたときは
照会の書面は来ません。また、
郵送で手続きをしても、裁判所によっては
照会なしでいきなり放棄申述受理証が送られてくることもあります。

 

つまり、放棄に関しては、
よほど致命的な誤りを犯さない限り申述は受理されます。

 

致命的な誤りとは?

 

致命的な誤り、ですが、
ずっと放棄すると言ってきて最後に、
放棄しない、と選択したとか。

このように誰がみても文脈的に明らかにおかしい誤りをしたときは、通常、裁判所から電話で確認されるので、よほど運が悪くなければ大丈夫です。

致命的な誤りというのは、
申述書や照会状の書き方に問題があるというよりも、
放棄が認められなくなる行為がなされたかどうか、
すなわち
単純承認事由が発生したかどうかです

 

これをすると放棄できない

 

放棄をする前に単純承認とみなされる財産処分行為・法律行為等をしてしまうと、もう、相続放棄はできません

 

故人の貯金をおろして自分の住宅ローンの
支払いに充当してしまったとか。
故人名義の不動産を誰かに売却したとか

 

単純承認をしたとみなされる事由が民法に定められています

 

民法第921条(法定単純承認)

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたとみなす。

1 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし、保存行為および第602条に定める期間(短期賃借権)を超えない賃貸をすることはこの限りではない

2 相続人が第915条第1項の期間内(熟慮期間のこと)に限定承認または相続放棄をしなかったとき。

3 相続人が限定承認または相続の放棄をしたあとであっても、相続財産の全部または一部を隠匿し、私(わたくし)にこれを消費し、または悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となったものが相続の承認をした後は、この限りではない

 

たとえば預金をおろして自分のものにするのが単純承認に該当するのは直感的に納得できますが、微妙なものがけっこうあります

大抵は、判例があります

 

ほとんど、該当しないもの
(これをやっても放棄は可能)

 

  • 遺族年金、死亡一時金の受領
  • 国保 健保組合等からの葬祭費等の受領
  • 未支給年金の受給
  • 葬儀の費用を支出する
  • 墓石の購入 (異様に高価なものをのぞく)
  • 債務(弁済期がすでに到来)を弁済する
  • 身の回り品(小銭入れ・名刺入れ・ライターなど)を形見としてもらう
  • 死亡保険金(受取人が推定相続人)を受領する
  • 仏壇、位牌、家系図などを取得する
  • 遺体を引き取る 遺体は相続財産ではないから
  • 生前にたっぷり贈与をうける ただし、このときは相続税がかかる可能性があります

 

単純承認に該当する
(放棄はできなくなる)
  • 過払い税金保険金等の還付金の受領
  • 高額医療費の還付金受領
  • 死亡退職金(遺族が受け取る旨の社内規定がないとき)
  • 債務(弁済期到来前)を弁済する
  • 死亡保険金(受取人が故人)入院保険・傷病保険を受領する
  • 代わりに株主として議決権を行使する
  • 高価な貴金属を形見としてもらう
  • 遺産分割協議を行う
  • 債権を取り立てる

 

 

司法書士は、裁判所提出の書類作成のお手伝いをすることができます

相続放棄をお考えの方は、どうぞお早めにご相談ください