登記引取請求とは?
買主にある登記引取義務とは何なのか
移転登記をしない買主側の問題点?
たとえば、土地の売買をしたら、
売渡側には、
登記義務つまり
登記を買受人に移転する義務が生じます
買受側は、基本的には、その登記が
完了するのを待っていればよいのですが
買受人にも、実は、
登記を引き取るという義務があります
登記は、売り主だけでできるわけではなく
買主の協力は不可欠です。
もしも買主が登記を拒めば、
売買登記はできません。そうなると
裁判をしない限り登記は不可能で代替手段はありません。
通常は、
登記の名義を買主に変えることは
買主の権利なので、
登記を拒むということは考えにくいことではあります
少なくとも登記を
司法書士が受任していれば、
いずれにしても登記については問題なく経過するわけですが。
登記を本人の申請でするときに、
問題が生じる可能性があります
もくじ
登記が終わらない
本人申請といったときは、多くの場合、
買受人側が自ら登記をする事例が多いようです
売り側から一式を預かって買主が登記所に提出するという流れです
以前であれば、分譲地などは、
数十個の分譲地の権利が一冊の権利証にはいっていたために、
司法書士ではない買主がそれを預かるということは考えられませんでした。
しかし、近頃は、登記識別情報通知が、
1筆につき、1通発行されます。だから
わりとカンタンに売主側も登記書類一式を買主側に交付しているようです。
実際の登記費用を支払うのはほとんど買受側なので、
さもありなんという感じでしょうか
しかし、
通常ならば売買と同時にされるべき登記が
何ヶ月たってもなされないことがあります
考えられることは3つ
何らかの都合で登記ができなかった。
当事者が登記をしようとすると往々にしてこのようなことはあります
ですが、登記がうまく行かないときは
多くの場合、本人申請をあきらめて、
司法書士に依頼することになるだろうと思います
特に
抵当権の抹消登記と
所有権相続登記は
自分でやろうとしたけどできないので頼みたいといっておいでになる方は多いです
本人申請でうまく行かないとしたら、
売買登記にあたって、
現在の名義人の住所・氏名変更がうまくいかないとか。
それがクリアされないと、買主一人で売買登記はできないわけですから。
あとは、
何度も何度も法務局の添削を受けている間に
面倒になってやる気がなくなってしまうとか
そうこうしている間に売り主の印鑑証明書の
期限が切れてしまうとか
まあいいか。代金は支払ったし、
売買契約書もきちんとあるし。
で、そのまま忘れてしまうこともあるようです
実は最初から登記をするつもりがない
登記簿上の所有者が変わらなければ、
納税義務は依然として従前の所有者にあります
売り側も気をつけていればそのことに気が
付きますが、不動産を大量に所有していると
何年も前に売却した不動産の固定資産税を
未だに支払っていることに気づかないこともあります
最初からそのあたりを見越して、
登記などするつもりもさらさらないのに、
後学のため自分で登記してみますと言って
嬉々として登記書類一式持って帰りますが
いつまでたってもそのままです。
これはけっこう、悪質です
必要が生じればいつでも登記をするつもり
(登記はいつでもできると思っている)
本人申請するとは言いながら、
実は一度も登記所へ相談に行ったこともなく
どのように申請するのかは全く知らない
そうかと言って
「その方が得だから敢えて登記はしばらくしない」
とか考えてるわけではないです。
しかし、素人なので、
登記は自分(買主)が望めば
売り主から預かったこの書類一式で
いつでも可能だと思っています。
おそらく、本人申請はカンタンだというネットの記事をさらっと読んでいるので、そのあたり誤解が多いだけで、基本的に悪気があるわけではないのですが。
登記はいつでもできるわけではありません
だから、
司法書士は、
決済が終了すると
目の色を変えて登記申請をするわけです
以前なら書類を掴んで
登記所に車を跳ばす、とか、
電車に飛び乗るとか、
今なら
オンライン申請を可及的速やかに行う
など。
万が一オンラインシステムに異常が生じたりすると司法書士は半狂乱になります
それというのも、
登記は早いもの勝ちという原則があり
第三者の抵当権がつけられてしまったり
差し押さえがされてしまったり、
けっこうスリリングなものだからです
買受人が登記を躊躇している間に、
印鑑証明の期限が切れる(3ヶ月)くらいなら再発行をお願いできるかも知れません
しかし、所有者が従前のままであるので
税の滞納による差し押さえがされたり
そこまで行かなくても、
所有者が引っ越しをしてしまって住所の
変更登記が必要になったり、
さらに
最悪なのは、
死亡してしまったり。。。
登記はいつでもできるわけではないということがおわかりかと思います
売り主に悪意がなくても以上のようなことは起こりえます。
さらに、悪意があろうものなら、
所有者がそのままなので、それを担保に
借金をすることもできるし、
抵当権をつけることも可能なわけです
あな恐ろしや。。。
誰のせい?
登記ができない理由として通常よくあるのは上記とは反対に売渡人が協力を拒んでる、というのが多いです
売渡人がどうしても協力を拒むときは、
裁判を起こし、判決をもらいます
判決文は、
売渡人は、買受人のために年月日売買を原因とする所有権移転登記をせよ
となります
この判決で、売主側の委任状等一切なしで
買主だけで売買登記をすることが可能となります
買主側が原因で登記ができないときは、
これとは、逆の向きの判決をもらうことになります
判決は、
買受人は、売渡人のために、年月日売買を原因とし、買受人を権利者とする所有権移転登記をせよ
といったものです
これは、
買主が移転登記の受領を拒否する場合、
売主は買主に対して登記の引取を請求できる
登記引取請求権を有する
という判例によります
買主が登記をしないでいると
売り側にも不利益が生じるため、
このような裁判があります。
ですが。
買受人が登記を拒んでいる状況というのは、わりと特殊ではないでしょうか
万が一こんなことも!
売り主さんも、善人ばかりではないです
未だ登記が移転しておらず自分の名義のままだということを奇貨として悪事に走ることがないとは言えません。
具体的には、
一度売却して実体上は既に他の人の所有に
なっている不動産を再度、善意の第三者に
売却してしまう人もいます
言うまでもないことですが、これは
二重(にじゅう)売買という犯罪です
権利証・登記識別情報もないのに
そんなことは出来ないっしょ?
と思うあなたはまだまだ可愛い素人さん!
実際の売買でも、
権利証・登記識別情報を紛失焼失した人はたくさんいます
当然、救済措置もあるわけです。
特に、司法書士が介在する売買登記では
司法書士の面談による本人確認情報
を作成することによって、
権利証・登記識別情報がある時と全く同一の
登記手続きをすることができます
これは、平成18年の改正で可能となった手続きです
それまでは迂遠な方法が必要で、決済当日、権利証がないということになると、決済は中止せざるを得ませんでした。
今は、適切な本人確認書類~運転免許証など
をお持ちであれば全然問題なく可能となりました 実に隔世の感が有ります
ありがたいことです
登記は大事ですよ
たまに、買主側から、
登記しないとだめですか、という相談を
受けることがあります。
おそらくそうした相談をしてくる時点で
登記したくないけどやらないと何かペナルティが課せられたりするのかな、という意味だろうと思います
登記は買主さんにとっては
義務というよりは権利なのだと思うのですが
登記をしないと第三者に対してその権利を主張できないわけですから。
ただし、
他の人が権利を主張してくることさえなければわざわざ登記費用をかけるまでもない、という結論なのでしょうね。
契約書はあるし売買代金は全額支払ったし
領収書ももらってある。
私が正しく所有者である。
わざわざ面倒な登記をするのは
バカバカしい
裁判になったら絶対勝てるし。
大体、不動産の売買代金が数十万円なのに
登記費用の方が高い、って異常でしょ。
売り主から権利証や登記の書類も全部
預かってあるから
いざとなったら、
登記はカンタンらしいから大丈夫。
今?今?すぐに登記をするメリットって
あるのかな
所有者たることを証明する一番簡単な方法が登記簿を確認することです
もしも二重売買によって善意の第三者に名義が移転されてしまったら私が先に買ったのよ先に契約してお金を払ったのは私なのよと主張しても、登記がされていなければその第三者には勝てません。
(不動産に関する物権変動の対抗要件)
民法177条
不動産に関する物権の得喪および変更は法律に従いその登記をしなければ第三者に対抗することができない
だから、通常は、
買主は登記がされることを重要視するし
司法書士という職業がここまで生き残って来れた所以でもあります
売り主から拒まれて裁判を起こすことさえあるのに、
わざわざそのチャンスをふいにするのは残念なことだと思います
ご自分で登記ができなくなったときは
どうぞお気軽にご相談ください
登記は大事ですよ。
善は急げ
と思います
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。