登記は中間省略で?
Q 登記は中間省略でお願いできますか
A あいにくですが、中間の登記を省略することはできません。
もくじ
まず、中間省略登記とは何ですか
中間省略登記とは、文字通りに、中間の所有者を省略して登記を行うものです。
たとえば、今日、土地所有者Aさんから、Bさんが買い、
1時間後に、その登記をしないうちにCさんに売ったとき。
本来ならば、登記は、
AさんからBさん。そして、
BさんからCさん、
と2回するのが正しいのです。
ですが、
それだと登記費用も2回分かかるし、手間もかかります。
不動産取得税も、中間のBさんは1時間しか所有していなかったとしても、納めなければなりません。
となると、
省略して良いものなら省略したい、というのが、人情ですね。
(人情ですが、法的に正しいわけではありません)
以前平成18年不動産登記法が改正される前は、
現在のように登記原因証明情報(売買契約書など)の添付が
義務づけられてなかったため、
そのようなことが行われたこともあったようです。
決して、当時も、省略してよかったわけではありません。
ただ、登記原因証明情報や売買契約書を添付する必要がなかったために、
それをしても、コトが公にならなかったに過ぎません。
特にバブル時代は、
- 朝、500万で買ったものを、
- 昼に1000万で売り、
- 夕方、さらにそれを2000万円で売る、
というようなことが日常茶飯事だったという話もあるくらいです。
(真偽不明もはや伝説かも)
しかしながら、
法律の改正がありました
現在の法律のもとでは
A→B→Cと売買された外観がある時に、
A→C
と、所有権の直接移転登記をすることは、基本的に不可能とお考えください。
理由は、添付書類が詳細に必要とされるようになったためです。
ようするに、チェックがきびしくなってしまったために、
以前は簡単にできた登記が難しくなってしまった、
ということですね。
つまり、A→B→Cと所有権が移転している時に、
現在の法律では、
A→Bの登記と
B→Cの登記しかできません。
A→Cというように直接移転することはできません。
さらに言うと、
AからBという売買契約書があって、
BからCという売買契約書があったら、
できる登記は、A→Bの登記とB→Cの登記しかない、ということですね。
現在、これができるのは、次の2つの場合だけに限られます。
a)第三者のためにする契約
b)買主の地位の譲渡
以上です。
第三者のためにする契約にしても、
買主の地位の譲渡契約についても、
通常の売買契約書では、足らないことをお忘れなく。
もしも通常の契約書を転用したいのであれば、
特約の追加が必須です。(太字部分)
a)b)の双方について、ご説明いたします。
a)第三者のためにする契約 A→B→C
◎AB間の契約
・特約(所有権の移転時期等)
Bは売買代金全額の支払いまでに
本物件の所有権の移転先となる者を指名するものとし、
Aは本物件の所有権をBの指定するものに対し、
Bの指定及び売買代金全額の支払いを条件として
直接移転するものとする。
なお、BがB自身を指定する場合を含む。
・特約(所有権の留保)
BからAへの売買代金の支払いが完了したのちも、
その指定があるまでは、
所有権はAに留保される。
・特約(受益の意思表示の受領委託)
Aは所有権の移転先となる者がAに対してする
「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示」
の受領権限をBに与える。
◎BC間の契約
・特約(所有権の移転)
所有権は、登記名義人Aから直接Cに移転するものとする
b)買主の地位の譲渡 A→B→C
◎AB間の売買契約
・特約(所有権の移転時期)
所有権は売買代金完済時にBに移転する
※通常の売買契約書には本文中にこの定めがあります
※これがないと、契約と同時にBに所有権が移転してしまい、買主の地位の譲渡が出来なくなります。
・特約(所有権留保)
BからAへの売買代金の支払いが完了したのちも、
所有権は、Bがそれを意思表示することによりAに留保される。
※これがないとAに売買代金を支払ったと同時にBに所有権が移転してしまい、第三者に買主の地位を譲渡することができなくなります。
◎BC間の契約
・特約(地位の譲渡契約)
本契約は、登記名義人Aとの売買契約における
Bの買主としての地位を
Cに譲渡するものである
・特約(所有権の移転時期等)
本物件の所有権は、登記名義人Aが売買代金全額を受領し、
かつCへの譲渡について承諾をなした時に、
Aから直接Cに移転する。
※Aの承諾については
登記原因証明情報に署名捺印してもらうので、
AB間の契約に載せる必要はありません。
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