登記はまたあとで??

登記はまたあとで。

この不思議な一言は何でしょう?

通常、売買や贈与などによって
所有権が移転したときは
一刻も早く登記をしたいものです。

当事者はもちろんのこと、
司法書士も気持ちは一緒です。

 

登記をする。とは?

登記をするとは、つまり

  1. 申請をして
  2. 法務局のコンピュータに
    所有権名義人が別の人に変わったこと
    変わった理由(年月日売買とか)を
  3. 記録させる作業です

 

売買してお金を払って
自分のものになった!

または、

何度も頭を下げて譲ってもらった!

これでようやく土地が自分の名義になる!

といったときに、
登記を望まない人がいるでしょうか

いいえ、いるはずがない、と
思いたいところですが、
ところがそうでもないことがあります

 

登記は少し待って

 

決済が無事に終わって
登記書類も全て整ったタイミングで
このように言われることがあります
(稀です・滅多にあることではありません)

  • 登記は少し待ってもらっていいかな
  • 登記はあとで。連絡しますよ。
  • 登記いつまでなら待てる?

 

権利者がストップをかける

これらの発言はおもに権利者
(買主 受贈者など。権利を得る側)から
発せられることがあるのです。

しかし、一体どういうことなのでしょうか

せっかくご自分に所有権が移ったのに、
登記名義をどうして
変更しないでいられるのでしょう?

 

義務者がストップをかける

逆に

義務者
(売主 贈与者など。権利を失う側)から
決済がおわったあとになって
ちょっと待って、が入ることが
あるかもしれません。
詐欺でしょうけど。

詐欺以外考えられません。

契約して、代金の授受をしたら
所有権はもう移っています。

登記の書類がそろったら、あとは
登記申請をするだけなのに、
ここで、ちょっと待って!
あり得ません。

私もさすがに登記義務者の側から
ちょっと待って!を言われたことは
ありません。

もしもそんなことを言う人がいたら
危ない!詐欺です!
まさに脱兎のごとくその場を離れ、
一刻も早く申請あるのみです

 

登記の必要性

 

登記は所有権を第三者に主張するとき
必要なものです

登記は対抗要件を付与する、とも
言われます


(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

民法177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、
その登記をしなければ、第三者に
対抗することができない。


たとえば
A子がB太郎から土地を購入し、
代金も支払ったとします。

A子が、この土地の所有者であることは、
登記を移さなくても、B太郎に対しては
主張できますが、

登記をしなければ
その土地上に家を建てているC江に対しては
所有権を主張できません。
賃料を請求することもできません。
なぜなら
登記がまだB太郎の名義のままだからです。

 

早い者勝ち

登記は、早い方(先に受付けた登記)が
優先です。

今はオンラインでされることが多いので
それほどの緊迫感はないようですが

以前の窓口持ち込み申請の時は、けっこう
スリリングでした

窓口申請の時は、周囲に人がいるので
一刻も早く投げ入れなければ、という気持ちに
なりますが

オンライン申請はPCをクリックするだけです。
周りに利益相反するような人物はいないので、
似たような事情ではありますが
窓口申請のようなスリルがない分、
気持ち的には楽です。

 

 

なにしろ早い者勝ちなので、
すぐに登記を入れる!ということは
至上命令なのです

にも関わらず、「登記はちょっと待って」
というのは非常に問題があります

ぐずぐずしている間に、
他の登記が入れられてしまうかも。
(これはアクシデントです。
当事者が関与しないのに差押え等がされる
というものです)

そうこうしているうちに、
他の誰かに売られてしまうかも。
(これは犯罪。二重売買と知っててやった
ということで悪質です。)

まだ、自分の名前のままだこれはラッキー!
ということで、これを担保にして
お金を借りて抵当権をつけられてしまうかも。
(これも犯罪。悪質です)

つまりは、このような
可能性としては非常に低いものの
あり得るかもしれないリスク
を避けるために、

決済後は直ちに登記を申請したいのです

 

オンライン申請ならばOKなのか

全てをオンライン申請で行ったとしても

  1. 登記記録を最終確認し、
    内容に、変更や先順位で妙な登記が
    なされていないことを確認し、
  2. 決済宣言し
  3. 資金の移動(これも電子振込)し、
    着金確認

登記記録の確認から
売主が着金を確認するまで約5分として、

この5分の間に
怖いことが行われないとも限らないのは、

窓口申請とさほど変わりはありません。
時間は確かに短いのですが。