登記についてみんな言うことが違う
登記手続きについて、みんな違うことをいう
そのような感想をお持ちの方と話しをしました
みんな。
というのは、文字通り、みんな。ということです
司法書士、税理士、銀行をはじめとして
家族、友人、隣人、同級生、などなど
わたし達は基本的に善人ですから、(または、そうありたいと願うものですから)
誰かに何かを質問されたら、実は知らないことであっても持っている限りの知恵を絞って答えてあげたいと思うものです
ですがこの場合、専門外のことについて問われたならば
「それについては無知。専門家に聞くべき」
これが、ほとんどの場合、最も的確で妥当な回答だと思います
素人が自分の知らないことに答えようとするときは、結局、自分のささやかな経験、または(経験であるならばそこには真実が含まれているのですが)単なる伝聞、ひどいのになるとネット上の与太話を見てきたように話す人もいます
ほどんどは、悪意あってのことではありません
単純にその人の役に立ちたいだけなのです
答えてくれた方に聞いてみましょう
それは、あなたの実体験?
本で読んだの?ならば、書いた人は誰?
ブログで読んだの?その人はその道の専門家なの?
自分の専門分野においてさえも間違えることはあるのに
聞きかじりやちらっと見たこと(しかもどこの誰が書いたかわからないネット上の発言だったり。)を
ついつい親切心から、さも本当(真実・正解・体験)であるかのように人に教えてしまったりすることがあります
気をつけていても、この誘惑から逃れることは難しいです
知識をひけらかしたい、という誘惑ではありません
その人の役に立ちたいという誘惑です
ですが、真にその方の役に立ちたいのであれば
「わかりません。専門家に聞いて」
これ以外のセリフはないような気がします
また、
困ったことを本気で素人に聞いてくるわけないんだから
そんなの適当な世間話の一種と思って流せばいい
そんなに堅苦しく考えなくていいのでは
という、一見、もっともな意見もあります
確かに一理あります。全部がそうであってくれればいいとも思います
しかし本気で困っていることを知人に相談する時、人はむしろさり気なさを装うものなのではないでしょうか
(反対に、専門家に相談するときは深刻さ全開です)
もくじ
名義変更の仕方について
せっかく、アドバイスをしても、
「近所の人はこう言った、ああ言った、こうだった、ああだった」
とのことでなかなか納得してもらえないこともあります
これは、当職の説明力不足というか信頼関係がまだ構築されてなかったということなのでしょう
ごめんなさいとしか言えませんが
遠くの司法書士より、隣の素人
ということなのでしょう
たまにあります。
逆に、
「近所の人にこう言われているのだが大丈夫でしょうか」
というようなお尋ねはかなり多いです
殆どの場合、迷信というか、都市伝説に近いです
特に多いのが、相続にまつわる迷信で、
- 相続権の有無(誰に相続権があるのか)
- 相続放棄・単純承認
- 相続限定承認
- 代襲相続など
かなりの人がこのあたり誤解しています。
たぶん、教えてくれた隣の人とその方は
家族構成も亡くなった順番も異なっていることがほとんどなので
隣の事情とその方の事情はまるで違うのです。
ですが、事情の相違によって相続権の有無等が変わってくることについては
思い至らない人は多いです。
(そのために専門職があります!ご安心ください)
では、隣人知人のアドバイスはあてにならないと思い
その道のプロ、の意見を聞こうとしたときに
よく勘違いなさる方がいるのでひとことご注意を
区別のつけにくい専門職
弁護士がほとんどの職域をカバーしていることは異論がないと思いますが、弁護士イコール専門職というわけではありません。
弁護士以外の専門職には次のようなものがあり、
職域が近接しているため世に混乱を生じさせています。
(実際に、法が禁じている他業種のしごとをしている専門職もいます)
- 行政書士
- 税理士
- 司法書士
- 社会保険労務士
- 土地家屋調査士
専門職同士でもたまに争いがあり、裁判になったりします。
現在のところ一応、落ち着いてはいるようですが
いわゆるパイの奪い合いで業際論争には終わりはないかもしれません
わたしに必要な専門職はだれ?
何か権利や法律に関することをしようと思った時にあなたに必要な専門職は次のとおりです。
- 登記(名義をかえる。売買をする。相続。会社の設立。事業目的の変更)
→司法書士 - 登記(一枚の田んぼを2つの田にわける分筆登記。家を壊した。家の増築をした。地目を畑から雑種地に変える)
→土地家屋調査士
- 契約書をつくる(つくるだけ)
→行政書士 弁護士 - 遺産分割協議書をつくる(つくるだけ)
→行政書士 弁護士 - 裁判関係の書類をつくる(つくるだけ)
→司法書士
- 自分の代わりに相手方と交渉する(これに係る一切)
→弁護士 - 裁判の代理人になってもらう(これに係る一切)
→弁護士
弁護士は、登記申請代理をしても法律違反ではないので登記申請は可能ですが、そもそも登記が専門ではないのです。
(登記のことをほとんど知らない弁護士は多いです)
法的にやってもいいと認められていることと
それを依頼人の希望どおりに完成させることの間にはかなりの隔たりがあります。
専門外という言葉があります。
たとえば、司法書士にすべき質問を税理士にしてもだめだと思います。
そこでされる回答は、(もしも回答してくれたとしたら、ですが)
「登記は司法書士の仕事なので、私(税理士)は素人ながらにこう考えますが。
あくまで、司法書士のしごとなので
正確なことはそちらに確認して下さい」
と回答されているはずなのです。
私も同様にしています。
ですが、私達はどうしても自分に都合のよいように聞いてしまい そのように理解してしまうものです
そうは自覚していなくても
自分の聞きたいように聞き
記憶したいように記憶してしまいます
(一度思い込んでしまったらそれを真実と信じたい ということ)
なので最初に、まず相談すべき専門職はどこなのか
をきちんと押さえましょう
専門職ならばどこもいっしょなのか?
また、その道の専門職であれば誰でも同じかと言ったらこれも違います
単純なお尋ねであれば専門職である以上誰が回答してもほぼ同一の回答が返ってきます、たぶん
ところが、これが複雑なものになればなるほどその専門職の経験というか、力量が問われ、回答はさまざまになります
要するに、あの先生ではだめと言われたのに
こっちでは大丈夫だと言われるというケースですね
これには2パターンあります。
・説明不十分
単純に、情報量が不十分だったために、回答が異なった場合
素人が、複雑な事柄を簡潔に伝えるのは難しいです
特に電話による相談などにおいては、
相談者が重要ではないと思って省略した情報の中に
とても大事な情報が隠れていることがあります
また、こちらの専門職側の聞き取りの巧拙によっても全然違ってきます
専門職だからといってみんながみんな
上手に話を引き出せるわけではありません
相談された情報を整理しながら聞き取ることの苦手な専門職もいます
こちら側からのアプローチによって
相談者側から得られる情報にもおのずと濃淡が生じます
そうなってくると回答もそれなりに変わってきてしまうわけです
なので、
「他の専門職で駄目と言われたのに、こっちではやってもらえた」
または、
「あっちの専門職は大丈夫と太鼓判だったのに、こっちでは絶対だめと言われて再度あっちの専門職に依頼したが、結局、駄目だった」
というのは、ほどんどこれらのケースですね。
・専門職側の力量知識不足
単にそのような事例(判例・先例・実務慣行・または裏技)
を知らなかった場合。
残念ですが、これは、ありがちなことかもしれません。
ごめんなさいですが、知らないことはできませんから。
ただ、ひと昔前と異なり今やネットで検索して疑問を解消する手段は日常的なものなので、経験が不足していることは昔ほど不利ではないと思います。
この点、検索技術に長けている若手(とも限りませんが)のほうがよい結果を生むこともあります。
正しい答えがほしいだけなのに
いずれにしても、正確な回答を望むなら
- 的確な質問を
- しかるべき専門職に
- できれば電話でなく対面で相談すること
説明図あればなお良し!
これだけのことなのに
これがいかに難しいことなのか
ここまで書いてきて今更ながら痛感しました
伝わるように説明し、
必要な情報を提供してもらう
難しいですね。
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。