独居老人のゆく年くる年

独居老人のゆく年くる年

 

一人でお住まいの高齢の方が増えています。

 

「独居老人」ということばは初めて耳にしたときは聞き違いではないかと思いました。外国語、みたいです。言葉の響きが。

民生委員をしていた人の口から発せられたのでしたが実にインパクトのある言葉でした。
今でもいきなり耳にするとドキッとします。
しかしながら、普通に使用されるようになって既にかなり長いです。
違和感もあまりないようですが。

なんか失礼?と思うのです。

 

 

さて、こんなご相談を頂きました。

 

死亡後の財産の行方

 

独居老人である私が死んだあと、この家や貯金は国が何とかしてくれるのだろうか、というお尋ねです。

 

何とか、というのは、どこかに住む子供を捜し出してその子供たちでうまく遺産を分けるように国が手配をし面倒をみてくれるのか、という意味合いです。

 

期待したいところですが、国は、そこまで面倒を見てはくれません

 

この方の場合、子供たちと交流がなく、また会う意思もないが、自分が死んでしまったあとは財産を遺してやるにやぶさかではない、ということです。

このご相談の真意はどこにあるのか測りかねましたが、次のように回答をしました。

 

今、できることは。

 

1 もしもどのように分けたいのか決まっているのであれば、公証役場へ行って遺言書を作成してください。

2 その遺言書があることを、誰か身近な人に知らせておいて下さい。

そうでないと亡くなったあと、遺言書自体がどこかへ紛れ込んでしまいます

3 その遺言の中で、できれば遺言執行者を決めておきましょう。(公証人がそのようにアドバイスしてくれるはずです)

4 または、公証役場へ行くのが面倒ということであれば、自筆で 遺言を書く、という方法もあります。

この場合も遺言を書いたことをどなたかに知らせておきましょう。
誰にも発見してもらえない遺言書は悲劇です

5 これらがいちいち面倒かも、とお思いのあなた。いっそ、いわゆるエンディングノートという記録を遺しておくことをお勧めします。

6 遺言証書とちがって、法的な効力はありませんが、死後のいろいろの事務管理手続きをする際に非常に助けになります。万が一の時に、連絡して欲しい人や会社を一覧表にしておきます。

7 普段ヘルパーさんなどが出入りされてる方であれば、その方に一言お願いしておくのもいいですし、仲の良い隣人に預けておくとか、地域の民生委員を訪ねるのも手です。

8 そのエンディングノートに、自分には実は子供がいるので、連絡してほしいというお願いを書いておくのはどうでしょうか。

9 その時に当然連絡先は必要ですから、ご自身が元気なうちに居所を探しておかれることをお勧め致します。

子供達には法定相続分があるので、そもそもその方が亡くなったことさえ知らせることができれば あとは、必要なことは子供達自身でなさるか、と思います。

 

身寄りのない場合は。

 

また、

天涯孤独で、相続権のある人がこの世にいない、という場合もあります。

 

相続人がいないわけですから、もしも

遺産を遺してあげたい友人なり、お世話になった団体などがあったら、同じように、遺言を書いておきましょう。

 

黙っていたら、その不動産は、どうにもなりません。

 

国のものになるのか

 

誰かが(利害関係のある人など)家庭裁判所に申し立てて相続財産管理人を選任したあと、誰か知らない人のものになるのを待つしかないです。

 

また、相続人なしで不動産が遺されたとき、その不動産は自動的に国のものになる、と一般に信じられていますが、そんなことはありません。

 

民法にはそのように定められていますが、(民法239条2項)誰かが何かをしない限り、自動的に財務省(国のこと)名義の登記がされる訳ではなく、そのままです

 

大きなお世話では ありますが、

あとは野となれ山となれ、では、少し、残念ではないでしょうか。

 

せっかくご自身で、或いはご先祖から、または配偶者様、ご家族のご尽力によって、自分のものになった権利です。
生きている間に 有効に使いたいです。
そして、
使いきれないものは、次世代にきちんと譲り渡してあげたいです。