無償で不動産をゲットする。

無償で、つまりただで、土地(場合によっては建物を含むこともあり)の所有権を移転するぞ!ということです

近頃の流行りらしく、ネットでみかけることがあります

贈与、ということでしょうか

または、限りなく、安い売買代金であるとか(1万円とか)

 

どうなんですかと聞かれることもありますが
実際のところ、どうなんでしょうね

 

確かなことは、

ただでもよいからこの土地を手放したい

手放せるものなら、
何ならいくらか払ってもいいから手放したい

とお思いの人たちがけっこういる、ということです

 

本当に無償(ゼロ円)かと言えば

 

仮に贈与を受けるとして

不動産の取得費用はゼロ円ですが、
実際は、

・登記の費用(司法書士に頼まずご自身で登記をするとしても、登録免許税はかかります1000万円の土地だと、20万円)

・不動産取得税ざっと40万円や

・贈与税1000万だとして、約230万円

・これから毎年かかる固定資産税

このような出費が必要になります

 

また、名義人(現在の所有者)の側の都合として、

弁済は済んだものの抵当権抹消登記が
未了であるとか、

住所または氏名の変更が、登記簿に
反映されていないなど。

 

所有権を移転して名義人を変更する前に、
その前段階として必要な登記があったりするので、これらの費用は原則として現所有者の負担です

契約によって、
全ての登記関連費用を
登記を受ける方(買主または受贈者)が負担するというような取り決めをすることも
もちろん可能です

実際によくあります

その際は結局、もとの名義人は
ほとんど負担ゼロで、新所有者に
不動産を譲渡することができるということになります

 

とかく、ただでもよいから貰ってほしいといわれると、なんとなくよいお話のような気がするものですが、
このようにいろいろと費用もかかることを思えば、当たり前ですが、いらないものは貰わない方がよいですね。

自宅の隣の土地であれば、欲しくもなるでしょうし、それこそ買い取ってでも欲しいということもあるでしょうが。

いくらゼロ円といっても、本当に使うあてのない土地を手に入れても費用倒れに終わる可能性大です

そこに家を建てたい、とかであるなら、お買い得かもしれません。

 

ご注意;家を建てられない土地があるのでそのあたりは事前調査が必要です

家を建てられない土地がある

家を建てられない、というのは法律や条例で決められていることが多く、農地を買って簡単にそこに家を建てようとは思わないでしょうが、(まさか思っていますか?)
同じ農地でも、カンタンに届け出るだけでOKなところと、何度も申請を繰り返してもつまりはそのような許可がもらえない農地もあります

また、宅地であっても、
必要な道路に通じていなかったり、
侵入路がそもそもなかったり、
いろいろと細かいことが法律、条令等で定められていたりします

現に今、隣に家が建っている→だからこっちの土地にも家は建てられるはず。と思っても、
実はその家を建てた後で法律が変わるなどして、今では再築ができなくなっていることもあります。

本気で建築を考えているならば、
不動産の現名義人に聞くのではなく、(素人に聞いても正確な答えは返ってきません。友達の知り合いの法律に詳しい人に聞いた、とかは論外です)管轄の自治体に行って相談しましょう。きちんと教えてもらえます
(法務局ではないです。たとえば、役場の都市整備課とか道路維持課とか、そのあたりに行けば、適切な担当部署を指示してもらえます)

 

 

また、
費用としては贈与税をご心配なさる方は多いのでそれならこれが贈与でなく売買であればよいのかといえば、
必ずしもそうとばかりは言えないようです。

安く売買するのはどうか

 

仮に売買であっても、
たとえば評価額が1000万円の土地を2万円で売買したら、どう考えても貰ったも同然なので、
その通常の取引価格との差額が贈与と認定されることもあります

このへんは、税務署がどのように運用しているのか全くわからないので、本で読んだだけですが。

 

不動産代金の他にかかるお金?

売買契約書上に載っている売買代金のみならず、税金が別途かかるので、そこは必ず押さえておきたいものです

 

・セルフ(本人申請)でするとしても登記をするには、登録免許税がかかります

・贈与を受ければ、贈与税が。

・名義が移れば不動産取得税が。

(ただ同然で売買するのであれば、少なくとも譲渡所得税はかからないと思います)

さらに、
・毎年、毎年、固定資産税が課税されます

 

問題はお金だけではない

私たちが気を付けるべきは、その贈与契約、または売買契約によって
名義人も、買った人も(もらった人も)将来
考えてもいなかったような不利益を被らないようにすることでしょうか

平たく言うと、
あとくされないように。
不測の事態が生じても困らないように。

 

なので、贈与または売買の契約書には、
作成するにあたって必ず忘れてはならないことがいくつか、あります

売買価格が
安い、または
贈与である(無料で不動産の授受をする)等の理由によって

どうせ安いものだから
そんなものはいらないっしょ
的な発想は危険です

また、売買契約または贈与契約それ自体は
当事者の合意によって効力を生じるとされているため、わざわざ作るまでもない、不要である、として
作成しないことがあります(契約書を作成しなくても契約は有効です)

外国ドラマに出てくるような数十ページもあるような契約書をつくる必要はないと思いますが、最低限のことは書いておくべきではないか、と考えます

後日のために。

 

さて、
後日というのはいつですか

目安としては、
忘れた頃、であることが多いです

後日のために作る

たとえお互いに悪気がなくても
忘れてしまったらアウトというか、そうなったら書いたもの(契約書領収書覚書確約書合意書等)などの証拠がなければどうしようもありません。

登記事項を確認して、
この日に売買とあるのだから、
当然この日にはお金の授受も済んでいるだろう
と思っても、→
売主は、後払いの約束をしていたので実はまだもらってないと主張!

または
この日に贈与とあるのだから当然受贈者も贈与者もそれを了解しているのだろう
と思っても、→
実は、贈与者は上げるつもりではなく売ったつもり。
または、少しの間、ただで貸すつもりだったとか。
間に入った人がそう言っていた、あとで何とかしますと言っていたがこれはお金のことではないのか等

以上の思い込みというか、
真偽が定かでない主張をされたとき、
それを証拠立てるものは契約書以外にありません。

それがないときは、

たとえば、

登記上は売買で移転してるのに未だにお金をもらってない、というような主張は、
証拠がなければ、
売主にはおそらく勝ち目がないのではないでしょうか
それは、→
売買代金なしで、登記をすることは通常考えられない。登記が先行する場合であっても、何年も経過しているのにまだもらってないということは社会通念上考えられない等が買主側からの反論として考えられます。その時に契約書がなかったとしたら。。。状況証拠から判断するしかないことになります

 

最低でもこれだけは

当方でもご依頼いただいた場合は契約書をお作りしますが、それほど内容に踏み込んだものはお作りできません

そもそもその不動産の現場さえ確認しておらず当事者のご希望のままに作っているに過ぎないので。

多少のアドバイスはしますが、
本当の問題点(があったとして)が
どこにあるのかわかりようがないからです

 

土地は現況更地であるものの、
建築する際には何かの条件が付けられているとか、
地域によって特殊な条例があったりとか、

本職(宅建業者)でなければわからないことがたくさんあります。

当方では、瑕疵のない所有権を無事移転させることこそが司法書士の役目であると理解しているので、
財産としての不動産という見地から登記を考えてはいません。(単純にわからないだけですが。)

それは、不動産業者の仕事であって、
だからこそ、当事者は、後日、問題が発生しないように、高い(と言われる)仲介手数料を支払ってまで取引の安全を期するわけです

契約書に書くべきこと

・所有権はいつ移転するのか

・お金の授受がある場合は、どのタイミングで残金の支払いをするのか

・登記書類の授受のしかた

・土地の境界については確認済みか、または確認しないことで合意があるのか

・土地の面積については、公簿売買なのかあるいは、測量の結果の実際の地籍での売買にするのか

・あとで(後日)、建物の不具合や土地に問題(土壌汚染が発覚するなど)があったときの責任の取り方・取らせ方は?

・固定資産税の清算はするのか?するとしたらその方法は

・引き渡し(所有権移転)後、もしも現場に残されているもの(残置物)があるとしたらその扱いはどうするのか 
旧所有者はその所有権を放棄するのか
または〇月〇日までに撤去し、それができなかった場合は、新所有者負担で撤去し、その費用だけ支払うことにするのか

 

多くの場合は、安くまたはただ同然の価格でのやりとりになるので、
契約自体も、あまり費用が掛からない方向でされる傾向です

なので、不動産業者が仲介的に関わることはあまりありません。
どちらかというと、自治体に付属(?)の空き家バンク的な組織が間を取り持つような感じが多い印象です

仲介業者がいないということはいろいろな意味で危険が伴うわけですが、

結局のところ、全部自己責任ということになります。

つまり将来何かあったとしても文句を言っていく先がないことを理解してもらうしかなく→登記をした司法書士のところに矛先が向きがちだがしかし司法書士には業務上限界があり、そこにいたってそもそも移転すべきではなかったという事情が露呈することもあるが、それは残念ながら不動産業者ではない司法書士には予めわかるはずもなく司法書士はそもそも土地や建物の細かいことまでわからないのでそのために宅建業者が存在しているのだとことあるごとにアピールしてもそれは当事者の耳には入っていない又は入っていてもそれがどういうことを意味するのか分からないそのあたりも説明しているのだが当事者はそんな細かい仮定の話はさておいて多少の不利益があったとしてもそれでもよいから不動産を手放したい、それでもよいから(どうせタダだし)貰いたいというような気持ちのまま契約に突き進むことがほとんど

 

よって、契約書は次のような文言が好まれることとなります

実際に当方で作成するざっくりした契約書にもほとんど下記の条項が入ります

双方が将来困らないようにというのは建前で
どちらかというと、
旧名義人に契約不履行の責が及ばないような方向で作ります

譲受人は当然それを良しとして
無償または低廉な価格で譲り受けるわけですから。

 

・土地および建物の面積は公簿での取引とし測量の結果、その増減があったとしても互いに権利を主張しない

・土地の境界については、明示しないままで売買することを双方とも了承し、後日これに異議を申し立てない

・現況有姿の状態を取引の対象とする。

・契約不適合責任は一切免除とし、それを理由として履行の追完、代金減額請求、契約解除または損害賠償請求はしない

・固定資産税の精算はしない

・物件内の残置物については、不動産の所有権移転と同時にその所有権は譲受人に移転するものとし、譲渡人はその撤去義務を負わず、譲受人は撤去処分等を行うことができる

 

たまたま僥倖で、安い不動産が手に入ったからと言って、それが将来の紛争の火種になっては本末転倒です

手放す方も、託された方も、
ともに後悔することのない取引・契約ができますように。

ですが可能であれば、

あいだに宅建業者に入ってもらうことをおすすめします