権利証を失くしたかも?

権利証を失くした?かも

 

土地が売れて、無事契約を済ませ、
ようやく明日は、残金決済の日。

買い主さん、それぞれの仲介の業者さん、それと司法書士、が
取引銀行にて一同に介し、いよいよこれで、全部終了最後の日。
だというのに。。。。

 

権利証が見当たらない!

 

だというのに、
業者さんから渡された「必要書類リスト」の中にある
「権利証」というのが、
どんなに探しても見当たらない。

何度か引っ越しをしたので、たぶん、荷物の中に紛れてしまったものか、
一晩中探したのに、どうしても出てこない。
せめてどのような形状のものかがわかれば、探しようもあると思うのだが、
どんなふうなものなのか誰もはっきりとはわからないらしい。
そんなことってあるのか。

これだとひょっとして明日の決済は、延期か。
それより、こんな状態で、残金決済できるのか。
権利証がないと、もう、この土地を売ることは不可能なのではないのか。

 

 

これは、ご心配だと思います。

 

 

ですが、

大丈夫です。

ご安心下さい。

 

世の中のほとんどのことに、代替手段というのはあります。
本件も例外ではありません。

 

権利証とはどんなもの?

 

少し前のドラマなどでは、
権利証のやりとりがその財産のやりとりであるかのような
描かれ方がされることがありましたが、
あれは、ドラマの中だけです。

権利は権利証の中にあるのではありません。

大切なものは目に見えません。
不動産の権利が、「権利証という紙」に
形を変えているわけではありません。

 

さてさて、実際の取引の現場では、いざその時(決済のとき)になって、
「権利証がない」
というような場面に出くわすことが、わりとよくあるのです。

事前にご案内はしているのですが、
権利証の代わりに(ご本人は権利証だと信じて)ご持参なさるのがこちらです。

  • 登記簿謄本(権利を取得した際の古いもの)
  • 地目変更とか、住所変更とか、分筆登記とか、ほかの登記の登記済証
  • 以前の権利証(たとえば、相続前の亡父名義のもの)

大体この3種類です。

共通しているのは、いずれにも、不動産の番地が書かれていること。
おそらく、それを確認して、権利証だと勘違いなさるのではないかと思います。

無理もありません。

「権利証って、どんなものですか。」と聞かれて
「こういうものです」、とご説明するのが、わりと難しいのですね。

現在は登記識別情報、といって、
機械が自動的に発行してくれて(内容はそれぞれに違いますが)
同じ紙に同じような感じで印刷してあるので、説明はわりと簡単です。

しかし、以前(登記法改正前)は、
登記されたタイミングや権利を取得した理由などによって、
外形はいろいろでした。

土地改良でできた権利証、払い下げによって出来た権利証、調停、
競落でできた権利証など。

登記簿の記載からそれらがわかるときは、そのようにご案内しますが、
やはり、限界があります。

普通に「売買」でできた権利証だとしても、
司法書士によって、成果物をいろいろ付けて分厚い表紙を付ける人もいるし、
登記所から発行される権利証(紙)をそのままでお客様にお渡しする人もいて、
説明するのが難しいのです。

ただし、説明するのは難しいですが、
それが権利証かどうかを確認するのは、わりと簡単です。

その書類の(たいていは)一番最後に、朱色の印判が押してあり、
そこに登記の受付日付番号が書かれています。
その受付日付番号を登記簿の記載と照合することによって、
必要とする権利証かどうかがわかるのです。
(さらに古い時代だと、これだけでは駄目なこともあります)

権利証は探してもらうのも大変だったよ、というお話でした。

 

権利証を紛失した場合どうしたらよいのか

 

平成18年に不動産登記法が改正されるまでは、こうした場合、
保証書による登記ということになり、

「登記所からの郵便でされる照会に売り主から回答するはがき」を
権利証と同じようにに扱うことにされていたため、
決済日当日になって権利証の紛失が発覚した場合、
その日に決済することはほぼ不可能でした。

しかし、法の改正により、

 

  • 資格者代理人(司法書士など)が
  • 売り主(登記簿に所有者 として記載されてる人)と、
  • 直接面談(電話とか、テレビ電話、facetimeなどは不可)をして、
  • 法定の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。いずれも有効期限内のもの)によって本人であることの確認をし、
  • 権利証紛失(或いは、焼失とか不発行とか。それぞれの理由に応じて、)の経緯を伺い、
  • 本籍とか、生年の干支とか、不動産取得の経緯など、ご本人でなければ知り得ない情報などを伺い、
  • できれば固定資産税納付書や、不動産取得時の売買契約書、建物であれば、水道光熱費の領収書などを確認するなどして、
  • 以上の資料を用いて、「面談した相手が、登記された本人と相違ないこと」
    すなわち、「本人確認情報」を作成し、登記の際に提供することによって、

登記済証(権利証のこと)または、登記識別情報の
添付または提供がなくても、
通常通りに登記が進行することになりました。

いかがでしょうか。

 

一言でいうと、免許証さえあれば、権利証紛失していても大丈夫。

 

ただし、紛失してる旨は、決済日の前に司法書士にお伝え下さい。
その場では対応できかねることがあります。

 

また、「本人確認情報」を作成するに当たり、
その作成料が別途発生すると思いますので、(当事務所では戴いております)
事前にご確認下さい。