業務権限証明書?全権委任状?

業務権限証明書?全権委任状?

字面だけを見ると、
業務権限証明書も全権委任状も同じような
ものではないかと思いますが、
ややすこし、違うので、ご注意を。

ここで書いているのは、
不動産売買および登記に
関するものです。

 

 

権利証がないと

 

不動産の登記(いろいろあります)をする際
権利証や登記識別情報が必要になることが
あります

売買や贈与をするとき。
担保設定をするとき、など。

そのときに、
紛失や、不発行、失効などによって、
添付・提供すべき
権利証や登記識別情報を持っていない場合は
状況に応じて次のいずれかを
選択することになります
(そうしないと登記ができません)

 

・事前通知制度

・資格者代理人(登記申請する司法書士)による
 本人確認情報作成

 

業務権限証明書

 

業務権限証明書は、この、
資格者代理人による本人確認情報作成に
際して、登記名義人が法人であってそして
法人の代表者以外の人と面談する場合に
必要とされるものです。

 

というわけなので、逆に、

  • 代表者本人と面談できるとき
  • 権利証の添付提供ができるとき
  • 登記名義人が個人であるとき

いずれかのときは、
業務権限証明書は不要です。

 

なお、権利証がある場合においても
業務権限証明書をくださる法人も
あります。
ありがたく頂戴していますが、
登記手続き自体には、実は不要です。

 

このように作ります

 

業務権限証明書

千葉県茂原市ゼロ番地
片桐りり蔵

上記の者は、当社の社内規定により、
当社所有の下記不動産について、
買主との売買契約の締結、物件の引渡、
代金の受領及び登記手続きに関する
業務権限を有し、
代表者に代わるべきものであることを
証明いたします。

なお、権限の範囲は、
下記に明示する不動産に限るものとします

不動産の表示
千葉県茂原市上の森18の41の土地

令和2年5月11日

千葉県茂原市上の林1-84-1
株式会社 片山えりぞう
代表取締役 片山えり  実印

※ 法人の印鑑証明書必要です


 

ちなみに、司法書士は、この書面によって
業務の権限を証明された片桐りり蔵さんと
直接面談をします。そして、りり蔵さんの
本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカードなど
を確認した上で、
本人確認情報 この登記に関して権利証にかわる書類
の作成をするわけです。また、
この業務権限証明書は登記の添付書類です
(本人確認情報の一部)

 

業務権限の内容については、
「登記手続きに関する件」の文言
はいっていれば、それでOKです

 

 

これと似たようなもので、全権委任状というものがあります

全権委任状

 

これは、内容としては業務権限証明書と
似てはいますが、
本人確認情報に添付する資料としては
業務権限証明書という標題が必要かと
思います。

 

また、
個人が業務権限証明書を発行することは
ありません

業務権限証明書の文言にご注意ください
~業務権限を有し、
代表者に代わるべきものである~

 

全権委任状はこのように作ります

 

これは、
契約決済に本人が立ち会えない場合などに
実際にその場に立会う人を代理人として
その人に全てを任せる、という意味合いの
委任状です。

本人が仕事で立ち会えない場合などに
例えばご主人の代わりに奥様が立ち会う
等のとき、ご持参いただきます

このときでも当然ですが、別途、
ご本人に対して、登記意思の確認は必要です

 


委任状

住所 〇〇
氏名 〇〇

私は、上記のものに、私の所有する
下記不動産の売却に関する一切の件
(売買契約の締結、物件の引渡、
売買代金受領、所有権移転登記手続き)を
委任します

不動産の表示
千葉県茂原市上の森18の41の土地

令和2年5月11日

委任者
千葉県茂原市上の林1-84-1
片山えり  印

※ 法的には実印である必要はないですが、
登記用として印鑑証明書をお預かりするので
できれば、実印を押して頂けるといいかな
と思います


 

いずれにしてもご本人が来てくださるのが
一番うれしいのですが。
なかなかそうも言っていられません。

まあ、細かいことを言ったら
きりがありませんが、
実はこうした司法書士の地味な努力は、

わたしたち国民の権利を擁護し、もって
自由かつ公正な社会の形成に寄与するという使命のもとになされているものです。

 

ご面倒かもですが、どうかご理解ください。