契約書って、絶対に必要?作らないとだめなの?

契約書って、絶対に必要?作らないとだめなの?

 

実は、契約は口約束だけで、まったく問題なく成立してしまいます。

Aさん「これを、売るよ。(貸すよ)(上げるよ)(やってね)」
Bさん「OK」

ホントにこれだけで、法律的にも問題なく、有効なのです。
驚き!ですよね。

 

  • 読み終わった文庫本を上げる(もらう)
  • 使わなくなったリュックを1000円で売る(買う)

など。こんなのも契約です。

 

契約書はなくてもOKではあるものの…!?

でも、これらは、契約書なしで平気というか、むしろ、契約書は無いほうが普通でしょう?

でも、これなら、どうですか。

  • 200万の価値のクルマを差し上げる。いただく。(贈与契約)
  • 2000万の建物を売る。買う。(売買契約)

金額が多いか少ないかだけで、気分的にずいぶんと違うような気がします。

モノの大きさとか耐久性とかもありますが、その値段が高額であれば専門家が間に入ることが多いです。車ならディーラーが、家ならば不動産屋が。なので契約書はあなたはサインをするだけで、本文はその専門家たちによって作成してもらえることがほとんどだと思います。

 

でも、専門家が入らないことも、状況によっては、ありますよね。
それは、

  • 仲介料を節約したい
  • わざわざ頼むのも面倒
  • 別に個人対個人で問題はない
  • 当事者だけで大事(おおごと)にしないで、ささっとやりたい

など。

その気持ちもよくわかります。

「そんなの面倒だし、なくても大丈夫だから。」

 

実は、そこまで契約書が大事だということは、私も開業するまでは気が付きませんでした。
いろいろなトラブルの相談を受けるようになってはじめて、契約のときにもう少しの注意を払えば防げたはずなのに、と痛感したからです。

いずれも契約書を作成してあればおそらく問題は生じなかったでしょうし、ましてや裁判にまで発展することもなかったと思います。

 

ほとんどの場合は問題はおこらないことが多いけれども…

確かに、ほとんどの場合、問題はおこらないことが多いです。

このように。

契約、たとえば、車。

乗ってるこの車を100万円で売るから、お金と引き替えね。
そして、常識および慣例に従って、車検証の名義を書き換えたり、内外を掃除したり、引き渡しの日付を確認して、忘れ物があったら、返却したり、これで、一件落着。

契約、たとえば、中古住宅。

住んでるこの家を1000万円で売るから、お金と引き替えね。
そして、常識および慣例に従って、登記の名義を書き換えたり、内外を掃除したり、引っ越しの日付を確認して、忘れ物があったら、返却したり、これで、一件落着。

 

なのですが。

今は大丈夫だとしても万が一将来問題が生じたときに備えて、契約書を取り交わしておいた方がよいのではないでしょうか。

 

トラブル発生の事例

問題なく約束が果たされて、買った品物はこちらからあちらへ移り、お金はあちらからこちらへ移る。
そのように、品物(車とか、建物とか)の引き渡し、お金などの受け渡しが終わってしまえば、とりあえずひと安心、といったところです。

ですが、たとえば、履行がすんだ後でも、
「売った覚えがない、返して! クルマ一週間貸すだけって言ったでしょ!」
とか
「売るなんて言ったことはない、そんな値段で売るわけない」
とか
「買うなんて言ってない、冗談だよ、そんな話は本気じゃないし」
とか
トラブル発生の事例は枚挙にいとまがありません。

 

そして、おそらくこれらの言葉の後には
「そう言うなら、証拠を見せてよ」
という一言が続きます。

 

それでは、見てもらおうではありませんか

そんなときに備えて、どんなに簡単でもよいので、必要最低限の契約書をお作りになることをお勧めしたいです。

ちょっとそれは心配しすぎでは? とお思いでしょうか。

全て問題なくものごとが進めば、あまり面倒な契約ででもない限り、
契約書はそれこそ無くてもよいくらいです。
ですが、問題になったときに備えて、さらに言えば、
問題が発生することを前提として、作ってみてはどうですか。

 

「契約書を作る」は誰が言うの?

さて、ここで問題です!

実際に、契約の場で、契約書を作ることなど誰も言ってない状況で、
いったい誰がこのことを切り出すのでしょうか

あなたが、言うのです。
「じゃあ、契約書は、どんな感じで作りますか」と。

おそらく、その場の人の半数は、そこまでしなくても、、、と反対するはずです。

残りの人もあればあったでいいかもだけど、そこまでするのも面倒だし、、、といったところでしょうか。

もしも、強硬に契約書を作成することを主張する人がいたとしたら、その人は、専門家であるか、過去に契約書を作らなかったためにトラブルになったことがある人かも知れません。

素人同士の契約では、圧倒的多数で契約書の作成は見送られることが多いですから。

でも、契約書は、今の時点では想像できないトラブルを、未然に防ぐために作るのです。
問題が発生することを前提として、いわば、保険として作ってしまう感じ。

だからこそ、あなたが、言うのです。
「契約書、面倒だから簡単に作りましょうか」

 

 

契約書をあなたが作るというケースを想定する

 

売買などの話し合いがまとまったときは、ある意味信頼関係が形成されていて軽い仲間気分でその場の空気も温まりというか盛り上がっていい雰囲気になっているものです。そのタイミングで、いまさら細かいことを言い出すのは気が引ける、という気持ちは当たり前です。

それがゆえに、こうした場合には契約書の作成が見送られるしまうことになるのです

 

その場で足らないものがあったとしても、

  • 「今度来たときに持ってきます。」
  • 「実家に帰ったら、すぐに送り返します」

など。

「何かあったらいつでも言ってください。すぐやりますから」
なんていうのもあり。

このような和やかな場で、いきなり契約書というビジネスライクな単語を口にするのは、勇気がいるかもしれません。

確かに若干ハードルは高いです。ですが、

これを機会にぜひチャレンジしてください。

 

まとめとして

おそらく、ほとんどの人は善人ですから、契約の時点で嘘をついたり、約束を破るつもりでいるというのは、ごくごく少数だと思います。

ただ、時間が経ってしまうと、おそろしいことに、信頼関係に基づいて行われた契約の履行(契約を実行すること)が、どうでもいいことのように感じられてしまうのです。

そして、事実関係さえも定かではなくなっていきます。

 

人間とは本当に忘れやすい生き物

人間は自分に都合のよいように過去の記憶を編集してしまいます。私だけではありません。みな、そうです。
怖いことです。

言った、言わない、はこうしたことによって必ず起こります。

忘れやすい生き物だからこそ、たとえ面倒だとしても、契約時にひと手間かける、つまり「契約書を作っておく」価値は絶対にあり!です。

まとめます

 

毎回毎回、きちんとした契約書をつくらなくてもよいかとは思います。
ですが、裁判になった事例のほとんど…、当事務所においでのお客様たちに共通する弱点が、この「紙の証拠がない」ということなのです。

これでは、よほどしっかりした証人でもいない限り、到底、裁判で勝てません。

また、たとえしっかりした証人であっても、相手方に優秀な弁護士がついていたりしたら、証言の有効性をひっくり返すのは弁護士の得意技ですから、勝てません。

紙の証拠に勝るものはありません。

さあ、契約書、作りましょう!

お一人で作成するのに不安がある方。または、ご自身で作った契約書に不安がある方は、ぜひ、ご相談ください。