地面師と闘うのだ その1

地面師と闘うのだ その1

どんな感じで
この犯罪がおこなわれるのか

 

これまでの司法書士人生で
(といってもたかだか30年のところですが)

多少なりとも事件性のある事案に
当たったことは有難いことに
ほとんどありません

ほとんどというのは
まあ、ゼロではないということです

幸いなことにギリギリなところで
当事者の方たちに不利益を与えるという
最悪の事態にはならずに済みました

一度でもこのようなニアミスというか
運良く助かった、というような
事例があると
次からは非常に
慎重にならざるを得ないので
とても怖い思いをしましたが
かえってよかったのかもしれません

 

実際にそのような
不動産がらみの詐欺事件に遭遇する確率は

かなり低いことは間違いないです

そもそも、都市部と異なり、当地
(都心から電車で2時間近くかかる田舎町)では
圧倒的に不動産の取引価格は低廉です

そこが幸いしている面は大きいです

たとえば、先日の決済では、
ひろーい宅地に古民家(というほど古いわけではなく
電気水道ガス完備バストイレはリフォーム済み)
がついて、500万円ほど。

 

そのような安価な土地に対して
地面師詐欺などを働いても
労多くして益少なしといったところで
わざわざ手間をかけて
そのような大掛かりな犯罪行為を
演出する人はいないというのが実情です

 

ですが、言うまでもなく
小規模な不動産詐欺はあります

これなら大層な舞台装置は不要ですし
取引価格もそれほどではないので、
世間の耳目を集めることもありません

数十万円の不動産を騙し取られたとしても
それがニュースになるということは
あまりないだけ、と思われます

 

 

地面師が活躍するためには、おそらく
次のような出演者が必要です

 

・ 登記名義人(所有者)になりすます人
代役ですね

・ 登記の書類を偽造する人

・ プロデュースする人(筋書を書く人)
いわゆる、首謀者です

・ハナシに真実味を与える人・場所 
本職の弁護士とか。本職の司法書士。
本職の税理士など。さらには
確認用の書類を公証役場で作成するなど。

さらに
本決済を大きな銀行の応接室を借りて行う
同じく
大規模な法律事務所の会議室を借りる。など

本当らしく見せるためにそれなりの仕掛けが
必要とされます

嘘をそれっぽく見せて
嘘をつき通すためには、それなりの
道具立てが必要です
真実であるならば
小さな郵便局の片隅で決済しても
問題はないのですが。

・ 何も知らない第三者 A

・ 何も知らない第三者 B
このような第三者は、本来なら
いなくてもよいようなものです。
経費というか費用もいくらか余分に
発生してしまうわけですし。

しかし、何人か間に入れた方が、
悪事が露見して捜査が入った時に
首謀者にたどりつきにくくなります。

なので経費がいくらか余分に掛かっても
ここに何人(何社)も入れることが
多いらしいです

・ あまり経験豊富ではない司法書士
経験値が高い司法書士だと
どこが怪しいとは指摘できないまでも
何となくへん、という直感が
働くものです。

なので、悪事を暴かれることはなくても
依頼を断られると、決済そのものが
できないことになってしまいます

決済に司法書士は必要不可欠です

 

そして

・ お金を持っている買主
細かいことにこだわらない 
豪放磊落な人柄であれば、さらに良し

さらには

・ よい物件  (・・一番大事)

 

たぶん以上のような舞台装置が必要です

 

パターンによっては

なりすまし役がいなかったり、つまり
本人が自ら詐欺に加担するまたは
それと知らずに
悪事に加担させられているなど。

 

第三者を一切入れずに
わりと小規模でこじんまりと行うなど

バリエーションはいろいろですが

おおよそは
このような感じです

 

なお、書類の偽造については
昨今では数万円で
本物そっくりの免許証の偽造が可能と
聞いたことがありますが。。。

偽造された実物をみたことがないので
どの程度の信憑性があるのかは不明です

国産のモノは仕上がりが丁寧なので
高値で取引される、とのことです
(本当か?)
これも仲間内で偽造するというよりは、
外注というか
プロに依頼して偽造することの方が
多いと思われます

 

いや、怖いですね
国産の偽造免許証を
それと見破る自信はないですが。