危機感のない理由

そもそも

被相続人が死亡したあと、遺族は
その後始末に追われるわけですが

そうした多忙かつ深い喪失感の中で
遺産の去就について
他の相続人と話し合いをもつことが
かなり困難であろうことは
想像に難くありません

 

財産をどのように分けるのが良いのか

実務上の問題としても大変だろうし
ましてや
相続人がどこにいるのかわからない
などという事態になろうものなら

心労はいかばかりでしょうか

 

遺言書を遺さずに逝ってしまった人は
あとに残る人のそうした状況を
想像できなかったのでしょうか。

 

遺言書の必要性を理解していても
言い訳ばかりで実際に書こうとしない人は
要は

危機感が無さすぎです

 

実際、必要性を理解していたら
書かずにはいないはずなので、結局は

その必要性を
理解していないのかもしれません

 

危機感のなさ1

 

×みんなで仲良く分けてくれると
信じている

 

これこそは、噴飯ものです

表面的には仲が良いように見えても
その実、そんなことは全然ない
という家族関係も普通にあります

もちろん仲良く話し合って相続人全員が納得するような
結論を出せるご家庭も多いです。 

 

仲良く分けられない理由は大きく分けて
二つあります

 

・話し合いがつかない

 

みんながそれぞれの主張を曲げず
誰も譲り合う気持ちがなければ
話し合いはまとまりません。

また
・特に理由はないが関わりたくない
ということで、参加を拒んでいる。

・法外な代償金を要求するなど。

まあ、いろんな人がいるわけです

どうしても
話し合いで決着できないときは
裁判所に調停手続き
申し立てることになります

 

・行方がわからない人がいる

 

協議は全員でしないと無効なのです

行方のわからない人がいたら
それに代わる人を選ぶという法的手続きを
する必要があります

 

まず、裁判所に
不在者に代わって遺産分割協議書に
署名捺印してくれる人
~不在者財産管理人~
を選任してもらいます

 

次は、遺産分割協議内容について、
裁判所の許可が必要です

 

たとえば、相続人が
配偶者と子ども一人だったときに

子どもが長年連絡先がわからないので
不在者とみなされたとします

 

遺産が5000万円相当
(4500万円の自宅と現預金が500万円)だとしたら

子どもの法定相続持分は2分の1なので
2500万円です。

 

実際に子どもと配偶者が
協議をすることができるのであれば
どのように分けることも自由です。

配偶者が100パーセント取得して
子どもの取り分がゼロという分け方も

その逆でも

どのような分け方も可能です

ですが、不在者がいるときは
不在者に不利な分割協議はできません

本人が意思表示できないからです

 

こうしたときの協議書の内容としては
帰来時弁済ということで
「不在者が帰来したときは
相続人は不在者に金〇万円を支払う」
というような文言でかつては許可が
下りたものでしたが、代償金が多額だと
許可されないことが多いです

管理人は、不在者に代わってその金員
(この場合だと、法定持ち分2500万円)
を受領して
不在者が現れるまで保管する義務を
負うことになります

 

具体的には銀行口座を作って
その金額を管理人預かり口座へ
入金しておくなどです。
(遺産には500万円しか現預金がないという状況で2500万円の現金の用意は可能なのかと言う問題はさておき)

また管理人には毎年、裁判所に対して
管理事務報告をするという義務が課せられます

その義務は

不在者が現れて
相続した財産(2500万円)の
引き渡しが完了するまで続きます

 

なお、管理人が
その義務を逃れるためには
その金額を供託することができます
(こちらも2500万円を供託するということが現実的に可能かという問題はさておき)

 

ちなみに
管理人候補者は申立人が
推薦することができるのですが

そのような面倒な事務仕事を
友人や親せきに依頼するのは
おそらく非常に悩ましいことであるのは
ご推察いたします

書いているだけで面倒な手続きですが
実際に行うのは、さらに面倒です

 

危機感のなさ2

 

×まだまだ元気!と思っている

 

熟考してすべてを勘案して
ベストの遺言書を作成するまで無事に
ご自分の知力や体力、命がもつと
思っているわけです

ほとんどみんな、ここに当てはまりそうです

ワタシも同様です

でも実際
あんなに昨日まで元気だったのに、急に
今朝方。。
と言われる方が
どれほど多いことでしょう

事故に遭うということもあり得ます

 

後に残る相続人のために
できるだけ
誰も困らないように
不公平にならないように、そして

相続税もかからないように。

そのすべての条件を満たした
最強の遺言書を私は書くのだ、
お思いの方。

いつまで待っても、そのような
最高の遺言書が自動的に出現する
ということはありません。

自分で作りましょう

必要なら
専門家のアドバイスを受けましょう

それが完成するまでにおそらく少なくても
数週間はかかるのであれば

まずは、万が一の事態に備えて
自筆遺言書を書いておきましょう

特に、子どものいないご夫婦で
兄弟姉妹にも相続権がいく
というような場合は

絶対に今すぐ書きましょう

 

遺言書は常に最新のものが有効です
(内容が相違しているとき)

とりあえず、簡単なものを作成しておいて
あとで必要があれば、ゆっくり
修正版としての遺言書を
作成すればよいのではないでしょうか。

 

 

危機感のなさ3

 

×何となく、面倒。

×おそらく絶対たぶん
今すぐどうこう言うことはないだろうから

×明日やる。

又は、

×次の結婚記念日に。
×次の誕生日に。
×サプライズで気の向いたときにetc…

 

ともかく人の命は儚いものです

明日はあっても
来年があるとは限りません

 

しょせんは人生、言い訳ばかり

 

ワタシに言わせれば
全て単なる言い訳です

実際に遺言がなくても
どうにかなることは多いですが、それは
僥倖といってもよいかもしれません

そんな僥倖をあてにするのは愚かです

当職に相続依頼をくださるのは
話がうまくまとまった案件だけなので
どれほどの割合で争続が生じているのかは
知る由もありませんが

 

これも全て
たった1通の遺言書がないが故と思うと
忸怩たるものがあります

あんなに言ったのに・・・

(言いましたよ?何度も)

 

 

 

世界で1番簡単な自筆遺言書の書き方

 

ボールペンで、白っぽい紙に書きます

配偶者にすべての財産を遺したいときは
このように書きます。

全文を手書きで書いてください

本文も署名も日付も全て自筆でお願いします


遺言書

妻の片山りまにすべてを相続させる

茂原市上の林1-8-41
片山江戸蔵 印(認め印で大丈夫)

2024年6月3日(省略不可)


まだお済でない方は
書きましょう

たったこれだけです。