分割協議書~要注意!
協議書を作る際はご注意ください
内容さえ具体的に
わかるように書かれていれば
その文言は好きにすればよいのですが
そうとも言えないことがあるので
ご注意ください
協議は相続人が全員でする必要があるので
特に多彩な財産をお持ちの場合など
どれを誰に分けるのが1番よいのか
もちろん当方にはわからないですし
ひょっとしたら当事者の方でも
特に思い入れのある遺産ででもない限りは
公平に分けてくれればそれでいい、
くらいのお気持ちでいる方も
多いかもしれません
相続は争続と言われるくらいで
肉親間の積年の思いが噴出するなどして
すんなりと話が運ばないこともあるようです
骨肉の争いなどが生じないように
丁寧な充分な協議がなされるとよいですが
諸般の事情から
あまり悠長に構えているわけにも
いかないこともおありでしょう
よい協議ができますように。
さて、
協議がまとまったら
協議書自体は、当方でもお作りすることは
可能です
シンプルな協議書こそ正義!
と思っているので(冗談です!)
当方でつくるのは、ほとんど以下の
どちらかのスタイルです
A案 遺産は全て○○が取得する
または、
B案 不動産すべては○○が取得する
ご希望があればもっと具体的に
財産の表示を記載するなど
ご指示いただいたようにお作りできます。
あとは、ご希望があるものとして
次のようなものがあります
ですが協議書としては絶対にお勧めしません
C案 千葉県茂原市上の森184番地の土地は
○○が取得する
同番地の家屋も○○が取得する 以上
というようなものです。
これは、相続人によれば
遺産は184番地の土地建物だけ。
これ以外、預貯金もないからこれで充分
ということです。
これをお勧めしないのは、実は
私道持分
(その住宅地の人が出入りに使っている共有道路のこと。)
も遺産だったときに
それが書かれていないために
困った事態になることがあるからです
または、
群馬県や北海道などに聞かされていなかった
原野を所有していたときなどに
この協議書だと相続の登記が
できないからです
遺産分割協議書に載っていない財産は
法律上は相続人全員の共有であって
だれか一人の単独所有にはできないため。
なので協議書に載っていない不動産でも
共同相続人全員の共有として登記するのは
可能ではあります
山梨や広島などの原野や山林を
登記できないとしても
さしあたって特段困ることは
ないかもしれないですが
居住建物の私道持分については
その持分を持っていないと、
法律的には、住宅地に出入りが
できないとされることもあります。
または、
家を再築することが制限されることも
あります。
つまり、このような場合は
私道持分はとても大事です
私道持分も併せて協議をしておくか
「これら以外の不動産は○○が取得する」
旨の協議もしておくのが正解でした
私道持分は通常、評価額がゼロなので
税務課からの課税明細書には
記載されていないことが多いので
遺産を調査するにあたっては注意が必要です
また
評価額がゼロであっても上記のように
必要な私道であるならば
私道なしでは売却したいと思っても、
売るのは難しいです
以上のように把握していなかった土地が
出現(!)したときに
C案「○○番地の土地はAが相続する」の
協議だけだったとしたら
改めてその土地についての
遺産分割協議が必要になります
そのときに気軽に
再度の協議ができる関係性であれば
問題ないです。
でも、離れた所に住んでいるとか
仲があまりよろしくない、とか
別件で絶縁状態になっている、など。
もろもろの理由によって再び
協議書に署名捺印もらうのが困難であるときは
大変です
数年後に遠方の土地が遺産として
発見されたものの、既に当時の相続人は
何人か死亡しており、新たな相続人との
交渉が必要になったという
(だから言ったのに・・・)案件は
少なくありません
このようなこともあるので
絶対どうしてもC案で作ってほしい、と
依頼があったときは、せめて
「上記以外の不動産が発見された場合は
○○が取得する」の文言を入れるように
お伝えしています。
ところで、C案にプラスして
これら以外の遺産が新たに発見された場合は
相続人全員で協議するものとする。。という
一文を追加するように依頼されることも
ありますし
他所で作った分割協議書の文末に
この一文を発見することは非常に多いです
ですが、これは、考えてみるまでもなく
あってもなくても同じです。
何も書いてないのと一緒です。
相続人全員で協議するのは当たり前の話で
全くもって気休めにしかならない
意味不明のフレーズです。
せめて
これら以外の財産が発見された場合は、
○○と□□が2分の1ずつ取得する
または
これら以外の金融財産が発見された場合は
相続人全員が法定相続分に従って取得する
このように作成されてあれば、
後日、もう一度協議をする必要がなくて
ラクです。
遺産のすべてを網羅的に一覧図のようにして
相続人Aが別紙目録1を相続
相続人Bが別紙目録2を相続、・・
と書かれた大部のもの(小冊子のように
綴じられている)を見ることもありますが
ほとんどの場合は、末尾に
「上記以外の遺産が発見された場合は
○○が取得する」
または
「その他の遺産が発見された場合は
○○と□□が2分の1ずつ取得する」
と記載されています
なぜなら、
どんなにがんばって遺産を調査しても
100%完全に調査することは
困難だからです。
しかも相続税の申告が必要だとしたら
限られた時間のなかで、
100%を目指すのは無理があります
ほんの少しの注意を払うだけで
未来は変わります
どうしてたった1行の追加をそれほど忌避するのかわかりません欄外への捨て印さえも拒んでいるのならともかく捨て印の方は気持ちよく押してくれたというのに。
千葉県茂原市の司法書士・行政書士です。お客様の、本音のニーズに応えられるような仕事を展開したいと思っています。 ご実家の土地の相続登記が終わってない、ローンを完済しているのにその登記を行っていない、昔、親が買った隣の土地の名義を変えてない、という状況の方は、お気軽にご相談ください。司法書士経験20年超のプロが、問題を解決いたします。お問い合わせは全国対応の片岡えり子事務所までどうぞ。女性スタッフによる丁寧な説明ときめ細やかな対応に定評があります。