侮るなかれ!住所変更の登記ができない?

侮れじ!住所変更の登記

簡単にできることもある登記ですが

いつでもできると思わないほうがいいです。

 

住所変更の登記とは

 

住所変更の登記とは、登記をした後で引っ越しなどをした結果、現在の住所と登記簿にかかれている住所が異なることになる訳ですが

その時に、登記の記載を今の住所に書き換える手続きのことです。

 

この登記は、実は、タイミングによっては、この上なく簡単にできる登記です。

ですが、できないときはとことん、難しいというか、
「結局できませんでした」
で終了することもあります。

ある意味恐ろしい登記なのです。

 

一説に、登記は名変に始まり名変に終わる、とも言います

 


・・・名変(めいへん)
所有権登記義人更登記の省略形
業界用語です


 

簡単な名変登記。

 

所有者の私は、茂原市上の林18番地41から

20年以上前に、

茂原市下の林41番地18へ、引っ越しをした。

 

こんなふうに、時間が経っていたとしても、同じ市町村だったりすると、なんということもないです。

住民票を1通取得すれば、それだけで済みます。
(登記の申請はもちろん、必要です)

 

住民票には前住所などの記載として
「上の林18番地41から平成10年10月10日住所移転」

と記載されていて、
20年たっていてもその記録が残されています。

 

困難な名変登記。

 

ところがこれが、他の市町村への引っ越しだったりすると一転、事情が変わって来ます。

 

除かれた(引っ越し、死亡などして住民登録がなくなること)住民票の保存年限は、現在のところ、5年と決まっています。

なので、

ほとんどの場合、20年も昔の記録は提供してもらえません。
(一部市町村では、廃棄してなければ、出してくれるところもありますが、あくまでそれは例外です)

 

さて、さらに、

登記上の住所は、引っ越しをしたからといって自動的に変更されるものではありません。
自動的に変更されるとお思いの方は多いと察しますが、そうではありません。

 

このオンライン時代に一体どうなってるのかと思いますが、現状はそういうことです。
将来は、市役所に届けを出せば登記上の住所も連動して変わるというシステムになるとは思いますが、いましばらく不便なままです。

 

名変登記が必要な理由

 

で、例えば、
その不動産を売ることになったとき。
または、
その不動産を担保にお金を借りるとき。

 

このような登記をするには、必ず所有者の印鑑証明書が必要です。そして、印鑑証明書の住所と登記簿上の住所が異なっているままでは、手続きはできません。

なぜなら、

変更登記をしない限り、同じ人かどうかわからないからです。

 

これが全てのポイントです。

同じ人かどうかわからない。

 

住所がどんなに移転に移転を重ねていても、役所の住所記録が全部継続してさえいれば、全く問題なく同一人物だということがわかります。

 

住所がつながるということの意味

 

所有者甲さんの登記上の住所がA県B番地だとすると、

現在の甲さんの住民票に「A県B番地から年月日住所移転」と書かれている、ということです。何度も引っ越しをしているときは、遡って前住所を辿れる状態でありさえすれば、それで、大丈夫です。

 

つながらないというのは、現在の甲さんの住民票に「C県D番地から年月日住所移転」としか書かれておらず、どんなに従前の住所地にさかのぼっても登記簿のA県B番地の記載がない、ということです。

 

つまり、登記上のA県B番地の甲さんと、現在の甲さんが住所が連続していないために、この同姓同名の甲さんが同一人物であるかどうか証明しようがない、ということになります。

 

いざとなったらこのように

 

それでもいくつか、良い情報があります。

 

現在は5年で廃棄処分なので、このような場合に救済措置というか、なんとかなる方法があります。

 

登記済み権利証を所持している。

 

これは、本人(同一人物)かどうかを証明する上で非常にポイント高いです。

なので、権利証さえあれば、なんとかなりそうです。

権利証がないとなると同一人かどうかを証明するのは難しくなります

 

打つ手が無いわけではありません。

 

役所の固定資産評価証明書に所有者として登載されているかどうか。現住所(印鑑証明書の住所)で記載されているとポイント高いです。

しかしこれが、登記簿上の住所のままだと、これはおそらく、非課税不動産なので、役所が税金を徴収する必要がないので現住所を調査しないからだと思いますが、これだと、ちょっと、難しいです。

 

住所変更の登記はホントに難しいです。権利証さえあれば、大体なんとかなりますが。なかったら、同一人であるという証明書を何らかの方法で添付しないと登記はできません。

 

できないとどうなるのか

 

過去に、結局同一人の証明ができなくて、売買契約は締結したものの、登記に至らなかったことが何度かあります。

 

本人も仲介の業者さんも必死なので、こちらも、役所に何度も足を運んだりしていろいろ手を尽くすのですが、登記官によっては、なんとか、してもらえることもあるかもですが、基本的に、ダメなことが多いと思います。

 

ずっと以前には、上申書として、
「私は、本人に間違いありません」
的なものを印鑑証明書付きで提出することによって、
本人同一証明に替えるという方法が通用したこともあったようですが、今は、だめだと思います。

 

住民票などは、現在は廃棄後わずか5年しか保存期間がありません。これがなんと一気に150年になる、という法改正がされる見込みのようです。
それが施行されるまでは、同一人証明との闘いは続きます。

侮れません、名変は。

 

自分のところはどうなのかと心配になった方は、どうぞご相談ください。

手遅れになる前に、住所変更の登記をしましょう。