トンデモ協議書??

トンデモ協議書

 

遺産分割協議というものは
相続権ある人全員で協議をして
合意されるもの、という認識の方が
ほとんどだと思います(あってます)

だというのに

こんな感じだったらどうですか

ある日、いきなり知らない司法書士から
覚えのない遺産分割協議書が
送られてくる。

しかもその内容と来たら
常識では考えられないような
滅茶苦茶なもの。

「遺産は全て同居の長男が取得する。」
とか(笑)。。。

 

私の相続分は無視ですか
私はこんな協議知りませんけど・・
どうなっているの?

とお思いになるのではないでしょうか

 

そもそも
死亡したことさえ聞かされていない
当然葬儀の連絡をもらってない。

このような状態のときに、いきなり

遺産を全部ひとり占めしたいから
ハンコをくれ

という手紙が
身も知らぬ司法書士から
送られてきたとしたら、

いったいどういうことなのか
この相続人や司法書士は
一体何を考えているのか

このようにお思いになるのは当たり前です

 

 

私が同じ立場であれば、やはり
愕然とするというか

まあ一言でいうと

驚きかつ呆れると思います
そして
絶対ハンコは押さないぞ(怒!)
心に誓うかもしれません

 


言うまでもありませんが、この話は
依頼人(ほとんどが相続する人)から

協議は無事に整っていて、司法書士から
書類が行くというハナシをしてあるから
あとは郵送でやりとりして欲しい

という申し入れがあってのことです

いきなり、当方の勝手な判断で
相手方に協議書を送付するなどということは
あり得ません


 

ただ、実は
この協議の内容としては

特に田舎にあっては
「全ての財産を配偶者
(またはその長男)が相続する」
というのはわりと当たり前というか
よく見かけるものです。

なので
特段珍しかったり異様な協議ではないので

その話がすでに協議済みと聞かされれば

司法書士としては
そういうものかと思うだけで

特にどこか問題があるのでは?と
疑ってみることはありません

 

協議が整ったということは、あとは
全員から
協議書と印鑑証明書を預かる、という
いわば書類仕事が残っているだけ

という認識だったので

前述のような
能天気(のうてんき)な協議書
直接お送りしたのでしたが。

 

ところがどっこい、そんなハナシは
先方には全く通っていなかった。という

実に実にお粗末なケースでした。

 

実は、以上の顛末は
結構あるあるです。

 

であれば、本来は依頼人から

いつどんな風に共同相続人に対して
協議の内容などを伝えたのか
本当に同意を得られているのか
等について

きっちりと聞き取るべきだったのかも
しれません。

 

ただ、そのあたりは
微妙なところです

水面下(!)で、お金のやりとりが
あったりなかったりするようなので

つまり大人の事情が
あったりなかったりするようなので

あまり厳しく問いただすというか
問い詰めるわけにはいかないわけです。

 

まあ、私が勝手に

そのように忖度しすぎているだけで

激しく胸倉つかむ勢いで
問い詰めていれば、白状(!)したかも
しれません

 

そうしたら、あとになってから
まるで寝耳に水状態の共同相続人から
抗議の電話が来ることもなかったのかも
しれないのですが。

 

そんな風に
いきなり、
すべてを譲渡放棄するという書類に
署名を迫られた相続人ですが

 

そのまま
全く返事をくれない人は
多いです
(あまりにも当たり前です。
あきれ果てるか、または冗談では?と
お思いなのでしょう)

当方に、お怒りの電話をくださる方も
また多いです(私だって、もしもいきなり
そんな書類が送られてきたら
苦情のひとつも言いたくなるかもしれません)

 

ところが中には
喜んでハンコを押しましょうという人が
お出でです。

ただ単に興味がないかもしれないですし
争いに巻き込まれるのを
警戒しているだけかもしれません

内心はともあれ、外形的には

ご自身のもつ相続の権利を全て
譲渡放棄してしまえるということは

やはり気風の良さを感じるものです 

よくやった!という感じでしょうか
(大きなお世話ですが)

こうした利他の精神に富んでいる人に
幸いあれ、と思います

 

ですが実際に30年以上
こうした相続登記に関わっていると

10人以上いる相続人が全員おとなしく
ハンコを押してくれた、という相続を
何度か経験しています。

お金は特段支払った様子はないのですが
電話で頼んで
足を運んでハンコをもらってきた
とのことです

ご先祖様の力を感じます あるいは
ご本人の人徳でしょうか

幸いあれ