まだら呆けと言われても、遺言をのこしたい

まだら呆けと言われても、私は遺言をのこしたい

 

お答え

大丈夫です。
やり方によっては、法律的に、有効な遺言書をつくることが、できます。

成年後見人がつけられてしまったのに、遺言ができるの

まず、行為能力と遺言能力とは違います。

その前に意思能力について、ご説明しますね。

 

意思能力

自分が何をやっているのかわかっていて、自分のやったことの結果を理解する能力、とされています。
たとえば、泥酔状態とか、いわゆる痴呆状態の人は意思能力がありません。
その人のした行為は無効です。(民法3条の2)

なので、まだら呆けの方は、ボケ状態のときには
有効に遺言をすることはできません。
遺言をしたとしても、無効です

行為能力

意思能力の有無は、外からははっきりわからないことも多いです。
そうした意思能力のない人、または充分ではない人は、詐欺にあったり、搾取されたり、自分の権利を自分で守ることができません。
また、それらの人と取引する人が、それと知らずに思わぬ損害を被ることもあります。

なので、法律で、一定の人を無能力者として、その人のした行為は原則、
取り消すことができる、とされています

具体的には、

  • 成年被後見人、
  • 被保佐人、
  • 被補助人、
  • 未成年者
    です。(被保佐人、被補助人が同意を得てした行為は、取り消しできないこともあります)

    遺言能力

 

しかし、もしも、上記の審判がされて成年後見人が選ばれていたとしても、
遺言者がそのとき正常な判断力がある状態(意思能力を回復した状態)と
証明ができさえすれば、
遺言することは可能です。

その際は意思能力で足り、行為能力は不要です。(民法962条・963条)

では、自分で勝手に遺言を書いても有効なの?

 

が、「意識が正常に戻ったので、さあ遺言を書きましょう」
と一人で書くのは、お待ち下さい。それでは、駄目です。

遺言作成時に意思能力があって、
それを証明してくれる医師2人以上が立会ってくれれば、
遺言が出来るとされているのですね。

 


「遺言する際に事理弁識能力を欠く状態になかったこと」をこの立ち会った医師らが遺言書に付記して、署名捺印などして、正式な遺言とすることができる。
(民法973条)


 

因みにこのような場合に、後見人が本人に代わって遺言をなすことはできません。

また、被後見人の遺言の制限が法定されています。

後見人または、その配偶者などに利益となる遺言をしたときは、
その遺言は無効です。
(ただし、後見人が、直系血族、配偶者または、兄弟姉妹であるときを除く
民法966条)