放棄と土地国庫帰属その2

相続土地国庫帰属法と相続放棄
その2

 

承認申請とその後の流れ

 

 国~法務大臣
(事務は管轄の法務局が取り扱います)に対して

まず、承認申請を行います

審査手数料
土地1筆につき14、000円です

 

 どんな土地でも良いわけではないので
その土地が国に帰属させる要件を
満たしているかについて
法務局によって事実の調査というか
審査がされます

 

土地の要件

通常の管理または処分をするにあたり
過分の費用または労力を要する土地は
不可とされています

けっこう厳しいです。

 

不可の例としては

  • 建物がある土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 危険な崖がある土地
  • 他人によって使用される土地
    (墓地・境内地・通路水道用地・用悪水路・ため池等)
  • 通行が現に妨害されている土地
  • 使用収益が現に妨害されている土地
  • 適切な造林・間伐・保育が
    実施されておらず、国による整備が
    追加的に必要な森林

 

など 全部アウトです

 

3 ここで、調査審査の結果
国が承認するとその次の手続きに
進むことができて、

 

4 10年分の土地管理費相当額の
負担金を納付することになります

負担金の額は、原則20万円です。

ただし一部の市街地の宅地等については
面積に応じて算定されるため

さらに高額の負担金が
生じることになります

 

 この負担金納付の時に
土地の所有権は国に帰属します

(承認申請者は、所有権を失います)

 

6 名義を変える登記手続きは
職権でなされます

相続登記等が未了だったとしても
その部分も含めて全部職権でされます

 

つまり、

この法律を使って
不要な土地を手放すためには

 

まだ放棄していない相続人であって
条件のよい土地をもっている

国がそれにOKを出し、
さらに管理費用の納付ができる

 

という条件を満たす必要があるということです

 

 

相続放棄との違い

 

一方で、相続放棄ですが

どんな悪条件の土地であっても
相続放棄するのは自由にできます

抵当権がついていても、崖であっても、
汚染された土地であっても
隣地との境界が不分明な土地であっても
所有権について争いのある土地でも
家が建っていても
(これらは、国庫帰属の申請が
できないとされているものです)

自由に相続放棄できます

 

なにしろ、相続放棄するということは
すべての権利義務を放棄するということです

被相続人の財産であったものは
その種類を問わず
相続放棄した人とは無関係となります。

 

相続放棄について、

土地はいらないけど、現預金は欲しい

という希望をお持ちの方は多いですが
なかなかそのあたりはうまくいきません

少なくとも相続放棄は
そのように設計されている制度では
ないようです

 

相続放棄するということは
財産全部を相続しない、ということです

 

土地だけ頂いて、
債務は相続しないで放棄する、とか

お金だけ頂いて、
農地は相続しないで放棄する、とか

あり得ません

残念ですが。

 

 

ただし

共同相続人間で話し合いがまとまれば

「相続人Aは全部の土地を相続する
相続人Bは現預金全部を相続する
相続人Cは何も相続しない」

というような遺産分割協議をすることは
OKです

相続税のことは一切考慮していないので
ご心配な方は必ず税理士にご相談ください